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37話

ダム雷撃作戦


F-86J”セイバー”

震電と交換で入手している。一応こちらのほうが価格が安く、多くの部隊へ配備する事が出来たが、後継のF-106の導入と共に1975年に全面退役。

一方、米国では震電の飛行データを生かしてF-102及びF-106の設計・開発実施。史実では格闘戦が不可能だったF-102はF-106共々優れた高々度格闘戦能力を得る事が出来た。

1949年3月17日

1年前に改修を終えた空母瑞鶴は護衛として老朽化によって兵学校の練習艦となっていた戦艦長門、陸奥及び伊勢、霧島と最新鋭の四万十型軽巡と秋月型駆逐艦と共に呉を出港し、南部政権軍を支援すべく朝鮮半島西部へ向かっていた。任務は進軍を続ける北部政権軍を足止めすべく北部のダムを破壊する事だ。


3月23日

空母瑞鶴会議室

流星の操縦士である中尉の俺、音村良雄は会議室で出撃命令が下るのを待っていた。すると第624飛行隊の飛行隊長である友永丈市中佐が部屋に入ってきて「どうやらダムに対する雷撃をするらしいが覚悟は良いか?」と言うと俺の機の航法士である西浜洋子中尉が「面白そうね。でも何でダムに雷撃を?」と続くと友永中佐は「ご存じだと思うが、今回は進軍を遅らせる事にある。少しでも時間が稼げればそれでいいと言う事だ」と言い西浜中尉は「面白そうですね」と言うと中佐は「今回の作戦は米軍との共同作戦だ。だから決して恥を見せぬ様にな」と続き、 全ての隊員が「了解」と言った次の瞬間だった。

出撃を知らすアラームが鳴り響き、俺たちは艦内通路を走り抜け飛行甲板へ向かう。

そしてそれぞれの機へ乗り込むとすぐにエンジン確認を行い、発艦に備える。やがて射出機に固定されていた2機の震電22型がジェットエンジンの轟音を轟かして空へ舞い上がると、それに他の震電が続く。そして遂に戦攻爆を兼ねた汎用(マルチロール)型の流星12型と魚雷積載は不可ではあるが、対地能力に長けた23型が飛び立つ。


そしてその部隊を先導するのは彩雲ではなくその後継機、最新鋭のジェット偵察機景雲の艦載型である景雲23型であった。


景雲23型のエンジンは国産エンジンを用いる震電と違い米国製であり、景雲試験生産機の1機を売却した事により入手出来た米国製戦闘機F-86(セイバー)用のエンジンのライセンス生産型である。

故に初期型ジェットエンジンであるドイツ式の震電のエンジン”フ1”及び”フ2”噴射推進機(ジェットエンジン)よりやや推力が高く、自衛用の武装を軽量化の為に全廃し偵察に特化させた景雲には打って付けであった。


やがて先導する景雲から同機搭載のレーダー情報が無線で伝わると護衛である震電とF2H(バンシー)戦闘機が一斉に右へ旋回していく。

どうやら敵も気が付いたみたいだ。戦闘機隊が吸引している間に任務を終わらせろと友永隊長が命じると目の前にゴツゴツしい山々が迫ってきた。そして俺は"いよいよか"と感じた。

恐らく敵も対空火力を満遍なく用意しているだろう。油断はならないなと俺はそう自分へ言い聞かせる。

俺の機は雷撃担当部隊所属だが何故か爆弾倉には新型の500kgロケットを搭載していた。


やがて川とダムの境界線になる湖が見えてくると敵の対空砲火(アイスキャンディー)が出迎えてくれた。

「行くぞ西浜!」と俺が機内伝声管に向けて言うと彼女は「了解!」と続き、俺は機体を少し上昇させて照準を定め、西浜中尉は狙いは俺の指示を待つ。

やがて「発射!」と俺が言うと西浜中尉はボタンを押す。

するとロケットは爆弾倉を離れて落ちて行く。そしてその数秒後、そのロケットは湖面から4.5mの高度でモーターに上手く点火して目標へ向かう。

そして魚雷がそれに続き、日米両軍の航空機は一気に上昇していく。だが直前に対空陣地制圧の為に向かった多数の急降下爆撃機が敵対空砲火に食われて墜落され、更に戦闘機隊もそれなりの被害を出したが航空優勢を確保。彼らの犠牲によって魚雷とロケット搭載機の攻撃で北部政権軍の要所、華川ダムの破壊に成功し、溢れる激流は北部政府軍の兵士たちの進軍スピードを落としたのである。


そして俺たちが空母へ戻ると戦艦部隊は信濃及び米戦艦ウィスコンシンら砲撃任務部隊と合流すべく離脱していった。だがこちらも米空母艦隊と合流し、新たな任務に就こうとしていた。

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