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23話

今回から帝国陸軍の戦いです。


8月21日

富良野上空

平和な頃はラベンダー畑で知られていたこの町も今やソ連軍の陣地へと変貌していた。

同市上空には疾風戦闘機24機と銀河攻撃機が20機飛んでいた。

そして俺、原衆一陸軍航空大尉は銀河攻撃機の機上にあった。

この銀河は元は海軍の攻撃機だが、故に高速性や低空運動性を買われて、襲撃機として我が陸軍にも導入されたのである。

説明は以上だが、現状は戦闘機隊とソ連迎撃機の交戦を開始。

戦闘機隊は迎撃機を南へと誘導し空戦を発生させ、攻撃機への攻撃をさせないようにしていた。


それはともかく…………

「本野!用意は良いな?」と俺が聞くと本野軍曹は『はい!準備完了しました』と続く。

同様に中隊各機からも準備完了の旨の報告が入る。

「(なら大丈夫だ…………)攻撃開始!各機、荷物を投下しろ!」

俺がそう言うと本野が爆弾倉に搭載されていた6式滑空爆弾の切り離しボタンを押す。


すると切り離された6式滑空爆弾は大きな三角(デルタ)翼の周囲に4つ装備されたロケット噴射装置により飛翔し始め、数秒間だけ噴射した後に切り離されて滑空態勢に入る。


俺が照準器越しに陣地に狙いを定めていたらすぐ横で突如、巨大な爆発が発生する。

どうやら敵さんも対空射撃を開始したみたいだ。

俺はそう思いつつ機首の50口径37㍉機関砲の発射ボタンに指を(かざ)す。


「……………撃てっ!」俺がそう言うと37㍉機関砲が小気味良い音を立てて火を噴く。

炸裂した滑空爆弾の煙や機銃や対空弾幕、様々な煙が俺の愛機の周囲を覆う。


僚機の中には対空弾幕に絡め取られて墜落していく機もあったが、そんなんで突撃をやめる様な者は攻撃機乗り失格だ。


俺は敵陣地に対して機銃掃射を加え、旋回して急上昇に移り、急降下態勢に移り37㍉機関砲による機銃掃射を敵陣地に加えて再度上昇する。


反復攻撃を終えた俺はすぐに僚機の安否を確認する。

本当なら救出したいが、涙を飲んで断念する。だが、彼らも戦士だ。戦死する覚悟はあるだろう。だが俺は未来ある若者の戦死に対して抵抗感があった。いや罪悪感が大きい。しかし総力戦なのだから仕方ない、と感情を押し殺して任務を続ける。


戦場では一個人であってはならない。これが鉄則である。


同日暁前羊蹄山付近

この日、先日の伊達市の戦いで壊滅的打撃を被った池田末男少将率いる第11戦車師団の戦力がようやく揃い、池田師団長も満足そうな表情をしていた。

5式戦車の車長で大尉の俺、金田了司は愛車の車長席でスケッチブックを手に色が漆黒から薄橙に染まる雄大な羊蹄山の絵を書いていた。

「おう金田!何してるんだ?」

池田少将がそう聞くと俺はそのスケッチブックを見せて「雄大な大自然を書いています」と言う。すると池田少将は「そう言えば君の新婚旅行は北海道だったな。また行ける様に俺たちが取り戻さないとな」と続く。

それに俺は「実は師団長、私の兄が海軍にいたのですが……」と言うと師団長は「海軍の兄貴がどうした?」と言い、続いて俺は「稚内沖で戦死した。と言う話です」と続く。

すると穏やかな表情で「そうか、お兄さんの仇か…………」と師団長が続き「2つの理由に軍人の本分…………か」と呟く。


それはともかく短い北海道の夏晩が終わりを迎え、地平線が完全に橙色に染まり始めると師団長は「各車前進開始せよ(Panzer Vor)!」と命じて我が第11戦車師団は前進を始めたのである。

登場兵器

ホ57型37㍉航空機関砲

37㍉×50口径(実口径53)

射程

1.8km(通常)or2.5km(サボ付)

4式長砲身76㍉線条戦車砲

海軍の長8㌢砲の戦車砲転用型

射程3.2km、弾薬重量9.6kg

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