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12話

1945年9月末


帝国海軍の主力艦艇は東シナ海でのソ連艦隊との艦隊決戦、通称"天1号(菊水)作戦"に備えて日本各地に集結していた。

横須賀、午前6時半

同港に停泊中の大和甲板

この日、いやに早起きした俺、大和艦長の俺、浜村清次郎は甲板を散歩していた。すると演説台の横に伊藤整一連合艦隊司令長官らしき男が立っていた。

「伊藤長官、おはようございます」そう俺が言うと伊藤長官も「おはよう。浜村君もはやいな…………」と呟き、俺と長官は横に停泊していた俺が艦長を勤めていた戦艦山城と第2艦隊(司令=森下信衛少将)旗艦の長門を見つめ、しばらくすると長官は艦内に入る。

俺も艦内に入り砲術長に許可を貰って機銃座のある第2砲塔に登ってみた。

俺がハッチを開けて砲塔天蓋に出てみると25㍉機銃座に取り敢えず座ってみた。

しばらくすると機銃座の責任者の兵曹長がやって来て「貴様、何をしている!」と言って来たが俺の作業服に書かれた艦長・浜村清次郎の名を見て態度を改め、「か、艦長でしたか。知らずとは言え、も、申し訳ございませんでした!」と直立不動の格好で俺に敬礼する。

「はははは。いいさ、いいさ」

そう俺が言うと、その兵曹長に対して俺は労いの言葉を言う。

「君らがいるからこそこの大和が空からの攻撃で軽微な被害しか受けていないんだ。今後も是非とも精進して欲しい」と言うとその兵曹長は「はっ、ですが私としては以前、軽巡洋艦酒匂の備える最新の5式誘導弾が欲しいであります」と言う。

「5式誘導弾…………対空ミサイルとか言う新兵器の事か?それは俺も大和どころか全ての戦艦に搭載し、艦隊防空能力を向上させて欲しいな…………」と言うと彼も頷く。そして俺は甲板に降り、艦橋に入り、出港命令を待つのであった。

そして数日間の訓練に明け暮れた各艦隊は四国の沖合いで合流し、台湾の沖合いに向かう。

南西に向かう際に艦隊は巨大な2つの輪形陣を組み対空、対潜防御を固める。

南シナ海上空、日本時間正午

同盟国であるタイに駐屯する第601航空隊偵察分隊に所属する彩雲がソ連艦隊らしき大艦隊を発見し、その情報を連合艦隊宛に送信したが、その情報を送信したのと同じ時刻に書記長が衝撃的な内容の命令を艦隊へと下したのである。そしてその命令内容は数百万もの人口を擁する帝都への砲撃命令であった。

四国沖、戦艦大和艦橋

「ソ連艦隊宛の暗号を解読した結果、その内容は帝都への砲撃命令だっただと!?」

伊藤大将が唖然とした表情をすると拳を握り締め、穏やかな人物像をひっくり返す様な表情をして「何としても帝都砲撃は防げばならぬな…………」と呟く。

当然、艦長である俺も覚悟を決めた。帝国の為にいざとなったらこの大和共に散る覚悟を。

しばらくすると伊藤長官の命令で非理法権天の幟が大和以下の艦艇に掲げられたのである。

長門艦橋

「帝都砲撃は阻止しなければなりませんね、艦長…………」

そう長門艦長の俺、高村恵三大佐に言ったのは航海長の戸田進一少佐だ。彼に対して俺は「ソ連の書記長(スターリン)の野望を絶対に阻止するのが我々、帝国軍人の役目だ。帝国の土地を侵略者、それも共産主義者に土足で踏ますなんてもっての他だ」と言い、戸田はそれに頷いた。

そしてそれを聞いていた第2艦隊司令の森下中将も俺と戸田に対して「いよいよ決戦は4日後だ。我々は大和と第1艦隊とソビエッキー・ソユーズ級戦艦が交戦する際に邪魔をしてくるであろうスターリングラード級巡洋戦艦を潰すのが求められている。覚悟は良いな?」と言う。

無論、俺や砲術長以下全ての艦橋要員が覚悟を決めていた。


10月3日

陸海軍台南合同基地に駐留する海軍第931航空隊所属のレーダー装備型天山がこの日、定期哨戒に向かった際にソ連艦隊らしき大艦隊をレーダーに捉え、その情報はすぐに大和ら連合艦隊へ送られ、接敵に備える。

いよいよ数時間後、世界最大の艦隊決戦の火蓋が切って落とされようとしていた。

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