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杯ノ二十一

 それは恰も、子供がベッドの上でスプリングを酷使しながら飛び跳ねる様な…そんな、楽しげで、奇妙な光景だった。

 何度となく、グイッ、グイッと、背中を畳に押しつけながら、やはり青年は考えていた。それは勿論、自分の事…そして勿論、父親の事を…。

 (こんな無茶苦茶な建築物を卒業論文のテーマに選んだ辺り、親父のやつもかなり、やけっぱちな心境だったんだろうな。まぁ、今の俺も、やけっぱちには違いないだろうけどな。)

 青年は、背中を畳の床に圧しつけながら息を吐き出し、圧し返す畳の弾力に促される様に息を吸い込む。足を向けた先に伸びる懐中電灯の光。その表面を、走馬灯の様に綿埃が回っている…。

 青年はそんなこの和室の空気を…心底からやけっぱちだと己に言い聞かせるように…口から、鼻から、背中を(さす)る畳の手を振り切って、思いっ切り吸い込んだ。

 (違うのは…親父はここを訪れた事で…あの女と会い…終わらせる積りだったはずの人生の、その続き歩んで行くことになった。それに引き換え俺は…ようやく、母さんの呪縛から解放されたっていうのに…ようやく、第二の人生が始まろうっていうのに…愚かにもここを訪れることで…あの女に会って…俺の人生は、今日、ここで終わることに成るんだ。)

 青年は、口の中に溜まった淀んだ空気を舌の上で転がして、濃い木の香りを味わっていた。

 そうして、全身の力を抜く様に虚空の埃を吹き飛ばしながら、また、身体を畳へと沈めていく。…っと、唐突に…否、当然にだろう…畳の下から刀で一突きにされた様な、鋭い痛みが青年の背中を貫いた。

 あれだけ強く背中を打っておいて、こんな無茶な遊びをしていればな…。

 青年が苦悶の声を漏らす。

 杯ノ二十一をお読み下さり、ありがとうございました…。

 御覧の通り…二十位話目でも出ませんでした、吸血鬼…。

 そう言うこってすから、毎日投稿を続行させて頂きます(^v^)それはもう、吸血鬼が出るまでは、休まずにね。

 では、気持ちを新たにした所で、次回の『貴女を啜る日々』でお会い致しましょう。

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