杯ノ百九十四
棺桶の中を手探りで、ぐちゃぐちゃになった敷布団の隙間から引っ張り出されたのが…眼鏡…。
その瞬間、静馬は、ピタリと閉じられていた全身の毛穴が、唖然として口を開いたのに気付いた。
…いやいや、無論、静馬も、著者も、童女の探し物が眼鏡であった事に、難癖を付けようなどという積りはないのだ。
枕元に置いてあった眼鏡を取り上げる。それは起きてからする行動として、何ら不自然では無いし…眼鏡をかける前に灯りを確保する事も、まったく順当であろう…。
だから、ただ…そう、ただ、蝋燭を超音波で発火させた事との落差があまりに激しかったと、それだけであって…。
あぁ、でも、ついでに言わせて貰うなら…確かに高価そうではあるが、金縁の丸眼鏡というのは…しかも、レンズの厚さが瓶底並みときては…率直に言って、婆くさ過ぎやしませんかね。今の貴女の状況を言葉にすれば、『お祖母ちゃんの老眼鏡で遊ぶ孫』そのものだぞ…と、失礼、あらぬ方向に脱線していた様だ。話を戻そう。
彼女にはややサイズの大きいその眼鏡をかけ、童女がレンズの底のぼやけた眼を、静馬へと向けた。
「本当だ…。」
「えっ。」
…ふんわりとして、それでいて、すぐに掻き消えてしまう様な、童女の声。そして、そんな声の端緒を掴まえようとするかの様に、静馬の疑問の声が追い掛けた。
童女は問い質す様な静馬の声に、ニンマリと牙を見せて笑い返す。
「やっぱり、父子だけあって、勇雄と貴方は本当によく似ているわ。でも…本当に、貴方は勇雄ではないのね…。」
美しい切り花が萎れ、自らの重みに倒れ伏す。眼鏡の奥の瞳は、そんな連想を覚える程に、色を失って居た。
杯ノ百九十四を読んでやって下さり、ありがとうございました(^v^)
今回も、『小説管理』についてのお話を続けます。
『貴女を啜る日々』を『シリーズ』として管理。そして、その一区切り分を『完結済みの連載』とする事にしました。
それで、今回の『後書き』からは、『小説ページの管理』に関してもう少し具体的に、かつ掘り下げていきたいと思います。
では手始めに、『目次ページ』の見やすさ向上、並びに簡略化についてのお話を…とは言え、結論から発表しますと、これ…手の施しようがありません。
まず、各話ごとのサブタイトルの扱い。
これには、『リンクの色が変わらないと、どこまで読み進めたのか分からない』とのご指摘に対応する為、
・『何話か毎に、説明分を付け足す』
・『何話か毎で、小分けにしたあらすじを書く』
・『通し番号の他に、表題を付ける』
・『数話分を1パートに纏めて投稿。目次に表示される絶対量を減らす。』
などの対策を考えました。…が、どれも、採用はしなかったのですけどもね。
…今回は、この辺で(^v^)
それでは、また、次回の梟小路の綴る文章でお会いいたしましょう。