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杯ノ百七十二

 白い手が石舞台の表面を捉える。勿論、青年に聞こえる様な音は立てずに…だが…彼の耳の中へ、ヒタヒタと、石の表面に吸い付く様な感触が入り込んでくるのだ。

 『来い』などと意気込んだ青年だったが、流石に、こうまで雰囲気のある登場の仕方をされては…二の句も継げない…。

 青年は押し黙って、次に這い上がってくるものを見つめた。

 次に舞台袖に顔を覗かせたもの、それは…血に濡れた金髪。そして、それが掻き上げられた事で露わに成った額。紅い水を(したた)らせる眉、閉じた(まぶた)。そう、それは紛れもない…青年が殺したはずの童女の顔であった。

 棺桶と言う窮屈な水槽から抜けだした童女は、髪を振り乱しながら立ち上がると、青年の前に裸身を(あら)わにする。

 そのあられもない姿は、見間違え様も無く、青年の手元にある破れたネグリジェの主そのもの…いや、だが待てよ…。

 彼女が死んだはずの童女の生き写し…瓜二つの美貌と、それに相応しい肢体の持ち主である事に異論はない。しかしながら、いいや、だからこそ彼女が、あの棺桶の中で眠っていた童女と同一人物であるかが疑わしいのだ。

 なぜなら彼女は、未成熟でありながら、造化の神の最高傑作と言っても過言ではない程に、美しい。それは(すなわ)ち、その造形美には一点の欠陥も在りはしないと言う事だ。

 つまりは、そう言う事なのだ…。賢明なる読者諸君ならもうお気付きの事と思うが…在るはずであろう。目の前に居る美の女神も白旗を上げそうな美少女が、あの棺桶に眠っていた童女であるならば…その喉笛と、左胸に、青年の穿ったグロテスクな欠陥が、一つずつ…。

 それが見当たらない為に、二人の童女の溝は埋まらないのだ。

 杯ノ百七十二を読んでやって下さり、ありがとうございました(^v^)

 手が出て…お次は何と…グフフッ、あまりの順調さに、童女の外見を賛美しまくって、はしゃいでしまいましたよ。

 あとは…このまま一気に展開が進むと良いのですが…出来れば、200話目を迎えるまでに…。

 それでは、また、書く楽しみが俄然増えた、次回の梟小路の綴る『貴女を啜る日々』お会いいたしましょう。

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