表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
167/1045

杯ノ百六十七

 青年の居る小さな楕円形の範囲だけを残して、血の朱に(まみ)れていた石舞台。その穴の開いた朱色の円形が、中心から少しずつドーナツ状に変わり…その赤いリングも細く、絶え絶えに成っていった。

 剥き出しに成った石舞台の表面の色が、青年の居座る楕円形と繋がる。

 それに気付くや青年は、未だ震えの止まない右手を、ペタリッと、押し潰す様に石舞台の表面に張り付けた。

 未練がましく(うごめ)き続ける手の甲の骨の感覚を、微かに不快に思いながら…青年は、今しも水堀へ流れ落ち切らんとしている血の輪の行方…ではなく、色褪(いろあ)せた(ひのき)の棺桶を見た。

 それは、とてもじゃないが、さっきまで血塗れだったとは思えない。(あたか)も樹皮を()いだばかりかの様な、無垢な、白い木肌を(さら)している。…だからこそ、(かす)んだ青年の瞳にもそれがすぐに分かった。

 棺桶の縁に、一滴、小さな血の膨らみが残されているではないか…。

 暖かな木肌の白の上に取り残された、そのルビーの如き一粒。それは紅く、そして、蝋燭の灯りを嫌う様にわずかな透明感を宿している。

 右手の震えを、上半身の体重を掛けた力づくで抑えている青年の見入る先に…その一粒が木枠の上から、石舞台へと零れ落ちた。

 …青年が眉を潜める様な不自然さは、血の粒が石舞台の表面に接した瞬間に、始まっていた様だ。

 聴覚が磨滅(まめつ)している青年には、その瞬間に、どの様な音が響いたのか解かりはしない。だが、パンッとか、パチンッなどという、破裂音はしなかったのであろうと彼は確信していた。

 何せ、一粒の状態で落ちた一滴は、石舞台にぶつかってもなお、一粒で在り続けているのだからな。

 杯ノ百六十七を読んでやって下さり、ありがとうございました(^v^)

 今月は、どうにも周りの連中が忙しく、なかなか構ってもらえない状況。…麻雀も、今年に入ってから三麻しかしていないなぁ。

 まっ、その分は執筆時間に充てられ、各小説の進捗状況には良い影響がありましたけども…こうムラムラと…麻雀がしてぇなぁ~と…。

 うーむっ、まだまだ、脇目も振らずに執筆という境地には程遠いで様です。そう成ったらそう成ったで、小説作成を自粛せにゃ成らなくなるのでしょうがね(^v^)

 それでは、また、『適度』な執筆活動を目指して止まぬ、次回の梟小路の綴る文章でお会いいたしましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ