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杯ノ百六十四

 深紅の薄膜が棺桶の外側を伝い流れる。

 何層にも、何層にも、赤い色と、血の匂いで(ひのき)の木目を染め上げる光景は…さながら、スポンジケーキに濃厚なチョコレートクリームを重ね塗る様な…そんな、どろりとした質感に溺れていた…。

 木枠を流れ下りた童女の血は、とろんとして、棺桶の底の周りに留まる。そうして、いよいよ…滑らかな石舞台の表面を、薄らと広がり始めるのだった。

 青年もそれには流石に大慌てで、身体を後ろに押しやろうと…だが…、

(クソがっ…またなのかよ…。)

 右手の指が石舞台に食い入ったかの様に、動かなくなってしまったのだ。

 そうやって青年がもたついている間に、童女の血液は…より大きなスポンジケーキを…石舞台を染め上げていく。

 青年は後ろが駄目ならばと、周りを見渡すのだが…童女の眠る棺桶は石舞台の中央に鎮座していた為、血の赤は塗り(むら)も、偏りも無く、綺麗に彼の逃げ場を呑みこんでいった。

 万遍(まんべ)なく広がる赤い(みつ)は、早くも、青年の指先の近くまで迫りくる。

 悲鳴を漏らすまいと唇の内側を噛み締めながら…それでも漏れ出す喘息の様な呻きに、青年は目の前に薄く延ばされた血液と、カタカタと石舞台の表面を叩いて震え続ける、またしても自分の命令に背いた右手を見下ろした。…どうやら…その瞳は既に、次の『非日常』へと向けられているらしい。

 青年は口の端から、ヒィッと、小さな悲鳴を漏らして…かと思えば、その悲鳴は徐々に…彼の口の端が吊り上がるに連れて、ヒッヒッヒッと、皮肉めいたら笑い声に代わっていく。

 (本当かよ、これ…紙相撲じゃあるまいし…。)

 童女の血は彼の右手を拒む様に、二股に裂けて流れ過ぎて行く。

 杯ノ百六十四を読んでやって下さり、ありがとうございました(^v^)

 今朝もいつも通り、寝床から起き出すと、いの一番に石油ヒーターのスイッチを入れて…が、何故か、今朝に限って『部屋が温まるまで』とベッドに引き返し、掛け布団を引っ被ってしまいました。…その結果、ギリギリまで二度寝する羽目に…。

 お陰で…朝の内に執筆する時間が取れず、二次創作小説の為の執筆時間を削って、夜に今回の『貴女を…』を書くことに成ったり…その上、一日中なんともぼんやりするし…。

 この教訓を活かして、早速、明日の朝から気を付ける事にしましょう。ベッドに戻っても、目だけは閉じない様に…。

 それでは、また、次回の梟小路の綴る文章でお会いいたしましょう。

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