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杯ノ百六十二

 青年は自分の判断と決断が…そのお陰で、ずっと張り詰めた状態で居続ける羽目に成った訳だからな…気休めにも成りはしなかった事に、苦笑いを浮かべる。

 そうしてから石舞台に右手を付いて、無理矢理に自分の身体を棺桶から遠ざけ始めた。…理由は言うまでも無く…棺桶の木枠を広がり続けている血の水筋…それがもう少しで縁をなぞり切って、両端を繋げる事に成る。そうなれば当然、流れ落ちる血は自分の足元を染め上げるであろう…。

 どうやら青年は、賭けに出たらしいな。それも彼が好んで打ってきた分の悪い賭けに…だから、こうして躍起に成って、後ろ向きに水堀へと動かない足を滑らせているのだ。

 彼の考えている事は至極単純。童女の血が自分の所に到達する前に、石舞台の隅のギリギリに辿りつく。さて、お次はどうするのか…そう、必然として、青年は後ろ向きで水堀へと飛び込む積りなのだ。

 仮に、首尾よく水堀へと、ドボンッと落っこちる事が出来たとする。そうなれば、水の力を借りて地に…水底に足を付けることも可能かもしれない。その後は、彼が今、何度となく手を付いている石舞台の…その側面へ、腕でも、肩でも押しつけて…石舞台の外周に沿って進めば、この暗い寝床の出口にまで辿り着けるであろう。全てが上手く生きさえすればではあるが…。

 それは恰も、(ほつ)れ掛けた頼みの綱に身を預け、断崖絶壁を下る様な心境。

 青年はそれでも、そんな一縷の希望を伝って、石舞台の上に付いた手で身体を後ろへと押しやり続ける。

 (しかし、あと何回…あと何回、こんな事を続ければ水堀へ降りられるんだろうか…俺の身体が後ろ向きに水堀へ落ちるのは…。)

 息を吐く度に、青年の背筋を寒気が下る。

 杯ノ百六十二を読んでやって下さり、ありがとうございました(^v^)

 昨日は、こちらの都合により『熔ける微笑 丙』、及びお年賀『活動報告』の投稿を見合わせました事、失礼いたしました。…結局は、本日7日(月)に日付が変わってからの投稿と成りましたね…。

 これからも、突発的な用事に左右されて、小説の投稿予定が前後する様な場合も少なからずあると思います。それでも皆様のお暇潰しのタイミングには、是非とも、梟小路の投稿いたしました小説をお役立て下さい(^v^)どんなに時間が掛ろうとも、梟小路は皆様のお暇になる頃合いを目掛け、いずれは続編を…そして作品の完結後には新作を投稿する所存であります。

 それでは、また、次回の梟小路の綴る文章でお会いいたしましょう。

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