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杯ノ百五十四

 液体には体積を最小限に抑える性質があり、それを『表面張力』という。…大半が出所不明の血液に、真っ当な液体の性質が当てはまるのかは定かではない。しかしながら、棺桶の外へと溢れ出しそうで、溢れ出ないこの状態は、まるで…この洞窟を出て野垂れ死にする事を望んでいる癖に、目の前の異常から離れる事が出来ない…『非日常』を見つめ生きているこの瞬間から離れられない…青年の心の緊張状態そのものではないか…。

 この血溜まりに変化が起きない事を見守っている。あるいは、血溜まりに変化が起きる事を望んでいるのかも知れない。青年はその胸中に、明確な言葉に出来ないわだかまりを覚えて…雁字搦(がんじがら)めに成った緊張の糸の隙間から、小さく…溜息を吐きだした。

 勿論、ほんの些細な振動が表面張力の均衡を破る事は、青年とて承知している。

 だから青年も、俯いた顎を軽く上げてから、水面(みなも)に吐息の触れぬ様に細心の注意を払って溜息を漏らしたのだ。

 実際、彼の吐息は水面を揺らしはしなかった。だが…思い出して欲しい…童女の『悲鳴』だとて、堀の水に向かって吐き出されたものでは無かったではないか…。青年の言葉に成らない声が、声に成らない言葉こそが…短い夜の間に何度となく、眠る童女の心を揺り動かし、遂には彼女を揺り起こしたのではなかったか…。

 それは超音波などと言う高尚な手品とは違う。しかしながら…いや、それだからこそ…それが、窮屈さに耐えかねた青年の、欠伸(あくび)にも成らない様な安っぽい溜息だったからこそ…きっと、水面を貫き、水底に沈む童女の胸の奥へと届いたのだろう。

 そこには、ほら…丁度良い具合に、通風孔も開いているのだしな…。

 杯ノ百五十四を読んでやって下さり、ありがとうございました(^v^)

 いよいよ12月31日を明日に控え、そろそろ、大晦日分の『貴女の…』更新の段取りを確定させようと思います。

 一応、麻雀部屋の主にPCを借りて、普段の日曜日と同じく18時に投稿…と言う事も考えたのですが…考えている内に麻雀の事で頭が一杯に成って…最終的に、勝負の場に他の趣味を持ち込む事も無かろうという結論に至りました。

 そう言う訳ですので、明日の31日の更新は、午前中のいつかという事にさせて頂きます。まっ、皆様もそれぞれにお忙しい事でしょうし、お暇の…そのまた隙間の時間にでも、覗いてやって下さいな。たった、700文字ですから(^v^)

 それでは、また、本年度の最期を飾るに相応しい…いつも通りの…次回の梟小路の綴る『貴女を啜る日々』でお会いいたしましょう。

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