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杯ノ百五十一

 石舞台の表面に映り込んだ蝋燭の火。その灯火の一つが消えるのを見つめて…青年は苦笑を漏らしながら、右手を童女の棺桶へと伸ばす。

 「ここは、俺の死に場所じゃない…。意地でも…ここを生きて…生きて出るぞ…。」

 青年は、肩を滑らかな石舞台に擦りつけながら、右手で棺桶の縁を掴んだ。そして身を起こそうと、その手に力を入れ始める。

 それは、青年の右腕が千切れるか、それとも、棺桶の側面の板が割れるかの根競べ。仮に上体を起こせたとしても結局は、脚が言う事を聞いてくれなければ意味が無い…それを青年自身が承知の上で行っている、虚しい意地の張り合い…。

 しかしながら、その、おそらくは無意味に終わるであろう根競べに…どうやら、青年は勝つ事が出来た様だ。

 根を詰めて、喉の辺りで止めていた息を右肩の脱力と共に吐き切る。同時に、ドッと押し寄せる疲労感の加重…。

 青年は自分の身体がそれを、どうにかこうにか(こら)えた事を確信してから…やっと、爪を立て棺桶を掴んでいた右手の強張りを、()いた。

 力を失い棺桶の内側を(はじ)く様に広がる、青年の五本の指。それらが指の(けん)の柔軟性に任せて伸び来た先で…するりっと…生暖かい液体の中に潜り込んだ。

 右手の人差し指の第一関節の辺りまで、それも童女の牙に付けられた傷口と接する高さまでの水位がある事を、指先の感覚が教えてくれる。

 その、皮も、肉も、骨も蕩ける様な温かさに…青年は、恰も落雷に打たれた様に、脱力しきったはずの右肩を、ギョクンッと跳ね上がる。…そして、放電現象の残りが居座っている様な鋭い眼光で…童女の眠る棺桶の中を見下ろした…。

 (血だ…赤い血が底から…湧き出してくる…。)

 杯ノ百五十一を読んでやって下さり、ありがとうございました(^v^)

 心身を律し、生活のリズムを整えようと…思っていたんですがねぇ。よくよく考えてみれば、年末休みも間近に迫っている訳で…寝惚けた状態で正月に雪崩れ込むと言うのも、一つの手ではある…。

 だけどまぁ…このままどっちつかずで、兎にも角にも更新を継続するって感じに落ち着きそうかな。我が事ながら、人事みたいですけど…蛇の口裂けとも言いますし、師走の尻尾くらいは高望をしないで過ごしましょうか(^v^)

 それでは、また、鬼に笑われぬ様に今年の更新に精神集中の、次回の梟小路の綴る文章でお会いいたしましょう。

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