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杯ノ百三十四

 『なんだ、貴方だったのね。あぁ、驚いた…。』

 青年には、童女が笑いながら、そんな言葉を投げかけてきた様に感じられた。…と言う事は、まさか…てっきり、仲睦まじいとばかり思っていた父親と、童女の関係は…一般の男女における良好な恋人関係とは違ったのか…。

 いや、どちらにしても今の青年に、彼女の底意を洞察する心のゆとりなどあろうはずも無い。

 彼は激しく揺さぶられているのだから…童女の笑顔にも、紫色の瞳にも、青年の期待した嫌悪感など微塵も感じられはしない事に…むしろ安堵した様な、それどころか、自分が傷付けられた理由さえも理解している様な、陰りの無い晴れやかさに…。

 そして何より、童女が自分に…彼女の中に仕舞い続けられていた…彼の父親の面影を重ねた事に…。

 その眼差しはまるで、何度と無く自分を素通りして行った…彼の母親のそれと同じであった。

 父親に見間違われる笑顔など、振り捨ててしまえばどうだろう。だが、それが自分に出来ない事を、彼自身が誰よりも理解していた。だって…、

(だって…笑っている顔が父さんに似ているって…母さんが…。だから…笑っていないと、母さんはこっちを見ない…。)

 朦朧(もうろう)とする意識の中。青年は幼い日の自分に戻った様に、無邪気に笑った。

 そして父親に似せた笑顔を浮かべたままで…それでも、小さく首を振るのだ。

 (母さん、俺は父さんじゃないよ。…俺は…俺は…本当は…。)

と、心の中でそう呟きながら、左右に首を振る。笑顔を振り落とさぬ様に、小さく、小さく…。

 その小さな揺れが、更に小さく成り、遂には止まった頃…。青年が可笑しそうに吐息を吐き出し、囁く。

 「ここまで美人じゃ無かったな…俺の母親…。」

 杯ノ百三十四を読んでやって下さり、ありがとうございました(^v^)

 最高気温ですら、二桁には遠く届かない昨今。起きたらまず何をするか…無論、暖を取ります。

 理想は、暖房器具のスイッチを逸早く入れ、熱々の抹茶ラテの注がれたマグカップを撫でまわしながら、執筆の資本である指先が温まるのを待つという流れ。…執筆の資本が頭脳じゃないのは、ご愛嬌…。

 始めに一番の苦行であるベッドから起床さえスムーズにいけば、後はどうという事も無い。ファンヒーターのスイッチを入れて…入れると…聞こえてくる『給油』を要求するアラーム…。

 「仕舞った…灯油を補充するタイミングを読み違えていた…。」

 そう、今朝遂に、毎年一度はある『急に気温が下がって、燃費も下がるという現象を考慮し忘れる』というポカが、梟小路の部屋を訪れたのでした。…招いても居ないのに、朝の冷え切った空気と一緒に…うぅ、寒い…。

 まぁ、そうです。灯油の買い置き自体は有るので、とどのつまりは『給油』してしまえば全てが解決します。

 しっかし…手に付いた油臭さは、なかなか落ちないんだよなぁ。

 凍える指先で執筆するか、油臭い指先で執筆するか…実に難しいところ…。

 だが、待てよ。現在、主人公(未定)の青年は冷たい洞窟の中に居るのだ。

 それに確か、『腐り落ちる果実の様な匂い』はしていたはずだけど、油臭くは無かった。…なら、どちらを選ぶべきかは…。

 …と言う訳で、セルフサービスで買ってきた灯油を給油せずに、セルフサービスの肌寒さを感じながら執筆を致しました。少しは、臨場感が増していると良いのですけどね…身体を張った分くらいは(^v^)

 それではまた、抹茶ラテの温かさに頼り切ってばかり居ないで、給油もしっかり行う、次回の梟小路の綴る文章でお会いいたしましょう。

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