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杯ノ百三十三

 問い掛ける様に童女の紫色の瞳で揺れる、蝋燭の炎。その一つが今…溶け、流れた蝋涙(ろうるい)に落ちて…消える。

 青年は無垢な童女の瞳と見つめ合いながら、溜息を吐き終えた唇を囁く様に閉ざした。

 (俺には…母さんほど上手くは、あんたの心に焼き付けられないかも知れない。だけど…あんたには悪いけど、俺はあんたを睨み付ける積りは無いよ。心中しようなんて、泣いて見せる積りも…。俺は自分の不都合だけあんたに押し付けて、一人でくたばる。それが、親父の代役でも、母さんの代役でも無い。俺が俺として送る、親父の愛した、母さんの恨み抜いたあんたへの手向(たむ)けになる。…じゃあ、さよならだ。)

 青年は少し恥ずかしそうに、クイッと、眉毛を動かす。それから胸にこみ上げる思いを…身勝手な自分への軽蔑と、化け物で…もとい、本物の吸血鬼であってくれた彼女への感謝、おまけに…多分、愛を込めて…柔らかく、慈しみ深い笑顔を童女へ向けた。

 彼が期待しているのは、無論、童女がそんな自分に向けるであろう意味深長な眼差し。それも、おぞましい物を見る様な、嫌悪に彩られた紫光の眼差し。

 そんな、自分が傷つけた者から受ける侮蔑だけが、彼の(みそぎ)足り得る…。 

 だから、開く者など居ない『タイムカプセル』の口元が歪んだ瞬間、青年の背筋を戦慄が…歓喜の戦慄が駆け巡るのだった。

 青年はもっと、もっとと催促する様に、急かす様に、満面の笑みを浮かべる。

 それを見上げた童女は、唇を無防備に開くと…あろうことか…青年に笑い返したのだ。

 青年は思い知らされる事に成る。

 自分はこの童女をタイムカプセルとして選んだ。しかし…彼女の中には既に、父親の面影が宿っていると…。

 杯ノ百三十三を読んでやって下さり、ありがとうございました(^v^)

 昨晩、ふと随分と前に買った書評の事が思い出されて、寝る前にペラペラと斜め読みいたしました。

 すると、『面白い小説の書き方』を示唆する文章がありまして、目から鱗…何度も、読んだはずの書評なのですが…今更ながらに、目から鱗が落ちる思いと成りました。

 そう言う訳で、早速、今回の『貴女を啜る日々』にその文章作成法を反映してみましたよ。多少はマシに成っていると良いなぁ(^v^)

 まぁ、しかし、どんな良薬でも、薬効をあまり急ぎ過ぎないのも肝要。

 ですから、『んっ、変化?そんなの有ったっけ…。』という皆様は…その内に、きっと近々、多少は魅力のある文章が書ける様に成ると思うので、期待してやって下さると幸いです。

 それでは、また、アップグレードした…さもなくば、次こそはアップグレードする、次回の梟小路の綴る文章でお会いいたしましょう。

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