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杯ノ百十五

 恰も、巨大な遠心分離機にでも放り込まれた様に…皮膚が、身体中の血液が、背中の側へと引き付けられているのを感じる。

 おそらくは堀に溜まった湧水も、彼の血液と同様、延々と…そして強力に、岩壁の方へと追いやられ続けているに違いない…。

 不意に、彼の思索すら許すまいとすり寄る、ビリビリと、指先の麻痺する苦痛。

 青年は、杭を握る右手の…爪の内側にある、生白い皮膚…その見た事も無い血の気の希薄さに、改めて悟らされる。

 (今は、皮膚や、血液といった、柔らかい部分が衝撃を分散してくれている。だが、こいつの悲鳴の音が、その許容範囲を超えたなら…岩の塊でも破砕する位なんだ…俺の骨格なんて一秒と掛らずに粉々にされて…この身体も、こいつが引っ掛ける『起き抜けの一杯』を(たくわ)えて置く為の、革の水筒に成り下がるって事か…。我ながら、まったくもって情けない話だ。何とかして、こいつの(かて)に成るのだけは、どうにか…どうにか…痛ッ。)

と、(にわ)かに訪れた指先の鈍痛に、杭をやや下に傾けていた右手首が跳ね上がった。

 地面と水平になった杭を見つめて、青年は痛みの理由に気付く。…親指の爪を縦に二分割する様な、亀裂が…そして…この万遍ない疼痛(とうつう)からして、杭の影に隠れた他の四本の指も、似た様な有り様なのであろう…。

 青年は目を見張ってその無残な爪の状態を眺め…だがしかし、その様な爪の惨状よりもなお、彼の青白さの増した顔に、驚愕の朱を差さしめたのは…、

(な、なんで…人差し指の血が…まだ止まっていなかったのかよ…。)

 青年は自分が血液を失い続けていた事実に、強い寒気を…それこそ、失くした血の分だけ強い…寒気を感じた。

 杯ノ百十五を読んでやって下さり、ありがとうございました(^v^)

 いやぁ、この冷え込み…流石にもう、初冬って具合に成ってきました。

 それで今朝は、『貴女を…』の執筆に入る前に、ファンヒーターにぶち込む為の灯油を買い求めて、最寄りのガソリンスタンドへ。そのお陰で、小説を書く時間が押すのなんのって…油臭さの残る手を洗うのもそこそこに、朝食を食べる時間も荒削りにして…何とか、一話分を朝の内に書き上げたと言う次第です。

 好きでやっている事とは言え、無計画に筆を進めるのは、そろそろ、卒業した方が良さそうだなぁ(^v^)

 それではまた、暖を取りつつ、楽しく、それに計画的に執筆できたら言うこと無い、次回の梟小路の綴る文章でお会いいたしましょう。

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