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杯ノ十一

 青年は、ドアの隙間から漏れる生温い塵芥(ちりあくた)の臭いと、一層濃い闇に、不意に顔を曇らせる。だが、そんな曇った表情のままで淡々と、ずり落ちかけていたリュックサックを背負い直し、左の(てのひら)をドアへぴたりと密着させた。

 汗ばんだ手の皺に渇いた木材が吸いついて来るのを感じながら、青年はゆっくりと肘を伸ばし、ドアを部屋の奥へと追いやった。

 風があんなにも苦労して動かしていたドアだったが、存外に…それこそ、拍子抜けするほどに簡単に開く。…無論、青年だってこんなところで立ち往生を望んだ訳もない。しかし、思いのほかのドアの軽さに、まだ、左腕にはやり場の無い力みが残っている…。

 青年はその左腕の余分な力でリュックサック再び引っ張り上げるとまず、右腕の懐中電灯を、目の前のこれまでとは異質な闇へと突っ込んだ。

 懐中電灯の灯りで壁を手探りしている内に、その異質さの正体は容易に解った。

 奥へと真っ直ぐに続く正面の闇は…そう、この通路には窓が無いのだ。

 (この感じ…いつだったか、親父が…。)

と、青年はふらふらと、朧気(おぼろげ)な記憶に吸い込まれる様に、その通路の上へと踏み込んだ。…っと、木造の床が盛大な(きし)み上げる…。

 青年はギクリッとして、足元へと転がり落ちる体重を一纏めにするかの様に、身体を硬直させた。

 どうやら、この分なら床が抜ける心配はなさそうだ。

 青年が汗で冷やされた喉から、安堵の吐息を漏らす。すると、それに誘われる様に大階段の方から風が入り込んで来た。

 風はゆっくりと振り返った青年の頬を撫でてから、通路に溜まった生温い気配を連れ出し、引っこんで行った。…その手にしっかりと、ドアの縁を掴んで…。

 本日も、杯ノ十一を投稿いたしました。これで、十話連続での七百字ぴたり更新(^v^)…杯ノ一を七百字弱で投稿したことが悔やまれる…。

 そうは言っても、物語が進行して、切りの良い所だと判断した場合は、七百字ぴたりで無くても作品を更新する事になるのでしょう。…現状の進み具合から鑑みれば、記録の更新はまだまだ続けられそうだけども…。

 まっ、そんな作品の形式的なお話が明日の事だろうが、来月の事だろうが、毎日投稿することには変わりなんですけどね。

 では、話が次話へと繋がった頃合いですので、また、その文章でお会いいたしましょう。今回も、一読、ありがとうございました(^v^)

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