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杯ノ百三

 青年は、その感触を右手に纏わり付かせたままで死んで逝くのが、どうしても我慢ならないのだ。…何せ、

(折角、親父を殴り飛ばしにあの世へ逝くっていうのに…こいつの残り香を手に着けたまま胸倉を掴んだんじゃ、親父の奴を喜ばせてやるだけだからな。)

 青年はそう心中で呟いた。

 皮肉な笑みを浮かべながら、鼻腔をくすぐる、甘い、甘い香りを…吐き捨てる様に、再びの舌打ち。

 その様子を見れば…耳鳴りの音により途切れそうに成っていた青年の思考と、気力の糸…その最後の一本が繋がりを断たずに生き残っている事を確信させられる。

 その一本さえ繋ぎ止められているなら、きっと大丈夫。きっと青年は自分の望んだ通りの形で死んでいける…皆さんにお付き合い頂き、彼の心理に寄り添わせてもらったが…後押しもここまで…。

 ここからはまた、少し距離を置いて、青年の決死の闘いを見守るとしよう…。

 一段と強く、そして深みを増して行く、むせ返る様な甘い香り。

 それまるで、自分が小人に成って、蜂蜜のたっぷりと入った瓶へと放り込まれた様な錯覚。青年はそんな身も心も蕩けていきそうな芳しい匂いの中で…もがく事を止めては居なかった。

 (そんなに俺の血が欲しいのかよ。)

 …耳鳴りの音が大きく成る度、ズキリッと、頭蓋を(やすり)で削られる様な苦痛を覚えながら…青年はそれでも、瓶の口を…突破口を握り締めたまま、毒づき続ける。

 (俺の指から舌を湿らす程度の血を吸い取っただけじゃあ、満足できないのはしょうがないだろうけどもな…悪いけど、俺は花に(たか)る羽虫でも、俺のスケベ親父でも無い。これ以上は、一滴たりとも俺の血は飲まさねぇよ。…だが、何ともお誂え向きな展開だな。)

 杯ノ百三を読んでやって下さり、ありがとうございました(^v^)

 これで腹積もりだった『接近する心理描写』を綴る事ができました。…満足、満足…。

 で、ふと思ったのですが、『幾ら、即興で、書きたい様に書いているとは言え…肝心の吸血鬼の描写を物語に盛り込み切れて無い現状で、例え、それが目標だったとしも…横道にそれた心理描写に走るのは如何なものか。うーむっ、やっぱり、この手の楽しみは、吸血鬼を物語の中心に据えるまでは控えた方が良かったのかも知れませんねぇ。…て言うか、そうしていれば、『吸血鬼込みの心理描写』が出来たんですよね。これは、したり(^v^)

 そんな訳ですのでまたもや、この場を借りて、勝手に縛りの追加を宣言させていただきます。

 吸血鬼を物語の『核』とする事が出来た…そう梟小路が判断するまでは、『実験的な文章表現』な類の横道に逸れるのは、禁止とさせて頂きます。

 うむ、これでもう少しは文章に纏まりが…あっ、だけど、主人公が今に死にそうになっていたりするんだっけ…。

 そうなると、文章を纏めった結果として主人公絶命とかに…。もし、それで面白くなると思えば、明日以降の梟小路は、躊躇なく殺しに掛るだろうしなぁ。…主人公を取っ変えての続行なんて、やっつけもいいところの展開に成らない様に…生きろよ、青年。

 それでは、また、明日以降の梟小路にビクビクしつつ、次回の梟小路の綴る文章でお会いいたしましょう。

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