02 シリアス
勇者になりたくてなったわけじゃない。
けれど、殺された家族の仇を討つのに、一番ふさわしい立場だった。
魔王に直接復讐できるなら、面倒な勇者にでもなってやろう。
もちろん困っている人間を見捨てて、俺のような人間を生み出さないためにも、目的達成のついでに勇者らしい行動も多少はしてやるつもりだ。
「勇者様! ドラゴン退治ありがとうございました!」
「おかげでこの村は救われました!」
「本当にどうお礼を言えばいいのか」
100パーセント私利私欲で動いているこんな俺にお礼を言ってくる者たちを見ると、心が痛くなる。
やめてほしい。
俺は勇者なんて呼ばれるような、立派な人間じゃないんだから。
「いえ、気にしないでください」
恩にきるとか、俺のために命を捨てられるなんて、簡単に言ってくれるな。
勝手な幻想を押し付けるな、持ち上げるなと怒れたら気が楽なんだけど……。
モンスターの被害に悩まされてきた彼らの事を思うと、つい口を閉ざしてしまう。
「勇者様! 大変です。村の外れに巨大なモンスターが! 厄災級との報告です!」
勇者の旅をサポートしてくれる兵士達が、モンスター被害の報告をしてくれる。
厄災級のモンスターとはやっかいな。
放っておいたら、町や村などいくつも簡単に消し飛んでしまう。
俺のような境遇の者達がたくさん生まれてしまうだろう。
放ってはおけなかった
俺は兵士達と共に早急にその場を後にする。
俺が早くたどり着くことで、少しでも犠牲を減らせるように。




