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アメイジングソケット 少年少女の異界攻略譚  作者: 埴輪星人


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1/3

プロローグ

いまいちストックの積み上げが難航しているので、とりあえず見切り発車です。

「変なもの拾ったと思ったら変なところに迷い込むし、変な生き物は飛んでるし、本気で勘弁してほしいよ……」


「本当にね~」


 なんとなくさえない少年のボヤキに、どことなく上品でおっとりした雰囲気の美少女がのんびりした口調でそう応じる。


 日本で荒事とは無縁の平和な暮らしをしていた二人は、現在サイケデリックな空の下、異形としか言えない気持ち悪い木が生い茂る森の中を、かろうじて道だと言い張れる程度に踏み固められた地面を歩いていた。


「それで、お兄さんはどこのどなたですか?」


「あ~、そういや、自己紹介もまだだったよね」


「ですね~。まあ、状況的にそれどころじゃなかったですし」


 今更と言えば今更な話を少女から切り出され、少年がばつの悪そうな表情を浮かべる。


 とはいえ、少女の言う通り、自己紹介どころが状況の把握すらできないほど、立て続けにハプニングが起こったのだ。


 すぐに必要がない自己紹介なんて、後回しになっても仕方がないだろう。


「えっと、僕は喜多村正樹きたむらまさき。今日から高校一年生です」


「わたしは相沢佑梨あいざわゆり。六年生になりました」


「えっ!? 小学生!?」


「はい。ランドセルにリコーダーが刺さってますよ~。うちの小学校、私立で指定カバンだから、ランドセルって背負ったことないけど」


 佑梨の自己紹介を聞き、驚きの声をあげてしまう正樹。


 さすがに自分より年下だとは思っていたが、小学生だとは思わなかったのだ。


「喜多村さんは驚いてますけど、今どきの小学生は発育がいいらしいですよ~」


「そうなんだ……」


「と言っても、わたしは学年で十番目ぐらいに大きいんですけど」


「それはうらやましい……」


 佑梨の言葉に、心底そうぼやく正樹。


 正樹は現在、身長百六十センチ台後半。背が低いというほどではないが、それでも身長順で並べば前のほうに来る。


 従兄や幼馴染、友人たちがみんな最低でも百七十五センチはある高身長のイケメンなのもあって、地味に重ためのコンプレックスだったりする。


 ちなみに、佑梨はもうちょっとで百六十センチと言ったところで、胸のほうも大きいとまでは言わないが冬の制服を着ていても分かる程度には存在を主張している。


 顔立ちがまだ幼いので大学生は無理だが、正樹と同い年ぐらいまでなら余裕で年齢を詐称できるだろう。


 余談ながら、正樹の髪形はラノベやコミックなどでよく見かける陰キャ系キャラ御用達の雑に整えてもらった感があるあの髪形、佑梨はロングとセミロングの中間ぐらいの長さのストレートヘアだ。


 二人とも染髪の類はしていないので、正樹は日本人に一番多いかなり黒に近い茶色、佑梨はつややかな黒色の髪をしている。


「もしかしたら、五年後ぐらいには喜多村さんの背を追い越したりして」


「シャレになってないからやめて!?」


「まあ、わたしもあんまり大きくなってもって思うので、百七十センチぐらいまでで止まってくれたらうれしいんですけどね~。でまあ、それはいいとして」


 自己紹介からどんどんそれそうになった話を打ち切り、上着のポケットから何かを取り出す佑梨。


 取り出されたものを見て、正樹がやっぱりという顔をする。


「喜多村さんも、これをどこかで拾ったりとかしませんでした?」


「あ~、相沢さんもか。僕も、教室で拾ったんだ」


「わたしは、いつの間にか荷物に入ってましたね~。下校のために学生証をカバンから取り出したときに、パスケースに引っかかったって感じでぽろっと出てきまして」


「なにそれこわい」


「怖いですよね~。見た感じ、携帯とかパソコン、ゲーム機とかに使うメモリーみたいに見えなくもないですけど、市販のものにこういう形のはなかった気がするんですよね~」


「相沢さん、そういうのに詳しいの?」


「一応、親がこの手の機器を開発製造している会社の役員をしてますから、多分製品のラインナップについてだけは結構詳しいほうかと」


「へ~……」


 佑梨の言葉に、拾い物とは違うことに対していろいろ納得する正樹。


 小学六年生にしてはしっかりしていると思ったが、最初の印象の通りちゃんと躾されている名家のお嬢さんならこんなものなのだろう。


「だとしたら、これは何なんだろうな?」


「形状的に、何かに差し込んで使うのだろうとは思うんですけどね~」


「……これだけ見てても、何も分からないなあ……」


「ですねえ」


 とりあえず、佑梨の背景からメモリーっぽい何かに意識を切り替え、じっくり観察してそう結論を出す正樹。


 佑梨も正樹の言い分に同意する。


 さすがに現物が一人一つでは、手がかりなどないも同然である。


「ただ、多分ですけど、さっき喜多村さんを追いかけていた人は、これの使い方を知ってるんだと思います」


「あ~、拾ったものをよこせって言ってたしなあ……」


「その後、見たこともない気持ち悪い生き物に追いかけられて、そのままどっか行っちゃいましたけど」


「あの人、大丈夫なんだろうか?」


「さあ?」


 正樹を追い回した挙句、モンスターとしか言いようがない何かに追い立てられて道なき道へと逃げ込んだヤンキー男について、一応その後も含めて話す佑梨と正樹。


 実のところ、正樹は別にこのメモリーっぽい何かをヤンキー男に渡してもよかったのだが、問答無用で殴られそうになったので逃げたのだ。


 結果として、よく分からないところに迷い込んだ挙句にモンスターっぽい生き物に襲撃を受け、あたふたしているうちに同じように迷い込んだらしい佑梨と遭遇し、現在に至っている。


 余談ながら、ヤンキー男は正樹と佑梨をおとりにしてモンスターから逃げようとしたようだが、なぜかモンスターは正樹たちを無視して執拗にヤンキー男を追いかけまわしていた。


「まあ、人道的な観点では無事でいてほしいですけど、厄介ごと的な面ではこっちにちょっかいをかけられない状態にはなっていてほしいです」


「……なかなかえぐいことを言うね、相沢さん……」


「だってあの人、追いかけられた原因をわたしたちに擦り付けて、殴りかかってきそうじゃないですか」


「……ああ。拾ったものよこせって言いながら問答無用で殴りに来るような人だから、それぐらいするかもなあ……」


「ですです。それはそうと、何も考えずに歩きましたが、こっちでいいんでしょうか?」


「分からないけど、まともに歩けそうなところはこっちか反対向きかしかないから……」


「反対は、行くだけ無駄だと思いますよ~。さっきわたしが引き返したとき、見えない壁にさえぎられて完全に行き止まりになってましたし」


「じゃあ、こっちしか選択肢はないか。正直、森の中に入っていくのはちょっと……」


「ですね~……」


 入ったが最後、無事に帰ってこれる気がしない森を見て、意見が一致する佑梨と正樹。


 迷子になるならない以前に、この森で道なき道を進もうとした日には、そこらへんに生えている木に食われて息絶えそうだ。


「……お腹減った……」


「お腹減りましたね~……」


「今日は午前中で終わりのはずだったから、弁当も何もないんだよな……」


「わたしもです……。喜多村さんは、お菓子とかは持ってないんですか?」


「今日は、教科書類を持って帰る予定だったから、そういうのは何も。というか、荷物全部教室に置き去りだよ……」


「あ~、教室で殴られそうになったって話でしたね~」


「うん。だから、当然荷物なんて……」


「ですよね~。ちなみに、わたしは校則の関係で、お菓子を持ち歩く習慣はありません」


「小学校って、そういうところ多いからまあ……」


 空腹に苛まれてぼやく正樹と佑梨。


 地域が違うからか、それとも公立と私立だからか、今日は正樹の高校の入学式と佑梨の小学校の始業式が重なっていた。


 なので、正樹はホームルーム終了後に教科書類を購入して終わり、佑梨の小学校は伝統的に始業式の日はホームルームのみとなっている。


 つまり、昼を食べるタイミングなんてものはないのだ。


「……あの、喜多村さん」


「……相沢さんも、あの鳥居が見えてる?」


「……はい。ということは、見間違いじゃないんですね」


「……多分。でも、なんで神社が?」


「分かりません。ただ、ここに入るしかないかな、とは思います」


「……だよなあ」


「あと、周囲の環境ほど、あの鳥居の向こうは禍々しくない感じです」


「……ああ、うん、確かに。参道脇に生えてる木も普通っぽいし」


 進行方向に見つけた鳥居について、意見の一致をみる正樹と佑梨。


 安全かどうかは分からないが、ここにいるよりはましだろうと進んでいく。


 鳥居の前に到着し、正樹がそのまま鳥居をくぐろうとすると、佑梨がごく自然な動作できれいな一礼をするのが目に入る。


「ああ、神社ってそうだったっけ」


「別に、決まりはないそうですけどね~。一応神域に入るのだから、最低限の礼儀ぐらいは守ってもいいかなって」


「こういうところにある鳥居だし、本当に天罰とかあるかもしれないしなあ」


「ですね~。まあ、私の場合、敬意云々とか礼儀云々というより、習慣でお辞儀をしてるだけだったりします」


「神道って、そういうもんって聞いた気がしなくもない」


 そんなことを言いながら、佑梨の真似をして鳥居の前で一礼する正樹。


「さて、予想通りかなり長い石段があるから、気合入れないと。相沢さんは、上まで登れそう?」


「そこまで貧弱じゃないですけど、さすがにこの長さはきついですね~。喜多村さんは?」


「右に同じ。……頑張るか」


「ですね~……」


 二人でげんなりしながらうなずきあい、気合を入れて石段を登っていく。


 これが、喜多村正樹と相沢佑梨、二人の異界攻略の幕開けであった。

キャラ造形は恒例のさいころ決定です。


余談ながら、年齢の決め方が2D6+6で、15歳と12歳になったから学年決めた結果高1と小6に。

決定後に、よく考えたら学年をさいころで決めたらよかったやんけと気が付く間抜けぶりよ……。


なお、学年決定前の初期年齢が頑張る編開始時点の澪やエアリスと同じになったので、佑梨さんの成長タイプはその二人+エタロリでさいころ振ったらエアリスタイプになりました。

なので、グラマーとまではいわないものの、年齢のわりに発育がいい状態でスタートしてます。

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― 新着の感想 ―
やはりサイコロ神のお告げは絶対か
小6の始業式で12歳ってかなりのレアケースw誕生日4月何日?w
メモリーのような物がいつのまにか持ってた。 それを寄越せといきなり殴りかかってきたヤンキー そして謎のモンスター 大丈夫、その街、風車とか無い?(特撮脳) \\サイクロン ジョーカー//
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