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egotism  作者: 親不知
2/4

2話


 「坂田くんさあ、部活とか入らないの?」

 

 結城さんがホームルーム前に話しかけてくる。

 

 「何で急に?」


 「記憶失ってるし、なんか、やってみたら?」


 「記憶失ってるしって、あんま繋がってなくない?」


 「でも、放課後とか暇そうじゃん。私が部活ない日とか、絡んでくるし。」


 「そういや、最近部活は?上手くやれてんの?」


 「うん。まあ、ちょっとまだ距離感探ったりすることあるけど、ちょっとずつ色々いい方向に進んでると思うよ。」


 「あー、まあそりゃよかったわな

。そういや、結城さんて結構モテる系の子だったんですねー。」


 「なにそれ、どっから聞いたの。」


 「いや、普通になんか噂されてたぞ。なんか、この前なんか知らんクラスのやつに結城さんと、どうやって仲良くなったんだとか言われたぞ。めっちゃ根暗そうなのに実はモテるやつだったか。まあ、確かにお宅顔整ってるかもなー、眼鏡とか外せば?」


 「余計なお世話。別にモテるわけじゃないわよ。たまに告白されたりとかあるけど。」


 「あのねえ、モテないやつってのは、告白どころか、話しかけられすらしないんですよ。」


 「坂田くんも最初はチヤホヤされかけてたけどね。態度悪すぎて、すぐ人気なくなったけど。」


 「やっぱ、似たもの同士じゃん。」


 「私は坂田くん以外には割と丁寧だけどね。」


 「いや、丁寧だったら、どうやって仲良くなったのとか聞かれねえだろ。」


 と話していると。

「ねえ、氷室さんて、絵上手だったよね。」

と知らん女が話しかけてきた。

どうやら美術部の他クラスの女らしい。

 「別に上手じゃなくても良いんだけど、美術部、掛け持ちで良いから入ってくれない?部員が2人辞めちゃって、このままだと部員足りなくて廃部だって。」


 「あら、丁度暇な人がいますよ。ここに。」と結城さんは俺の方を指差し、答える。

 すると他クラスの女は少し固まり。

 

 「さ、坂田さん、ですよね。あ、す、すみません。氷室さんばっかり、見ていて、気づかなくて、、あ、あの、、、」

 とオドオドしだした。


 「なんか、割といつもこんな感じだけど、今回はいつにもましてだな。」


 「貴方、この娘には何したのよ。」


 「あの!、すみません。放課後美術室で待ってます。氷室さんお願いします。」

と言って、逃げるように去っていった。


 「断る暇も無かったな。」


 「私、美術部入る気ないけど、貴方どう?」


 「興味ねえなあ、どっちかといえばスポーツやらせたほうがよくないか。俺の体格。というか、誰?友達?」


 「私、美術の授業とってるんだけど、一緒に授業受けてるこだわね。」

 

 「名前は?」


 「確か、野宮?さん?とかそんな。」


 「お宅、他人に興味ないよな。」


 「全員覚えるのは結構無理じゃない?」


 「俺の方がもう、知り合い多いんじゃないか?」




 放課後美術室に行く結城さんについて行き、俺も美術室に行った。

 「あっ、氷室さ、、」と言いかけ、

俺を視界にいれると

「な、何で、坂田くんも?」と言う。

 

 「押忍!暇だから俺も見学しに来たぞ!野宮さんよろしく!」

 と元気よく言うと。


 「野々宮です。」

俺は結城さんの方を向くと目をそらされた。



 奥の席に腰掛け、野々宮さんを奥に俺と結城さんは隣に座り話し始めた。

 「何で私なの?他にも暇な人一杯いるし、どちらかといえば、私、部活ちゃんとやってるし、忙しいのだけど。」

と結城さんは話し始める。


 「誰でも良いわけじゃないんです。私美術部好きですし、ちゃんと絵、好きな人がいいなって。」


 「私、美術好きって言った事あるっけ?」


 「絵を見ればわかるよ。筆使いとか、どれだけ丁寧に描いてるかとか、どれだけ愛情があるかなんて。この前描いてた、ナルキッソスってタイトルの絵とか。」

 と野々宮が言うと結城さんは少し、照れくさそうな感じで、


 「あれは、、、」と言葉を濁した。


 「へー、俺、見たことないわ、結城さんの絵。どっかにないの?」

と、横から俺は口を挟んだ。


 「坂田君には見られたくない。」


 「え?何で?何で俺ピンポイント。人に見られたくないとかだったら分かるけど。」


 「まあ、良いから、とにかく、私は無理よ。」


 「そう言わず、少し体験してってください。準備しておいたので。」

と、野々宮は食い下がる。


 「貴方見かけによらず、結構強引ね。あーもう分かったから。体験だけよ。」


 「あー俺も体験する。」

と野々宮に言うと、凄く複雑な表情をして、


 「絵、嫌いだって言ってましたけど、、」と、少し、感情を抑え込んだ様に言った。

 

 「え?あー俺記憶喪失で何も覚えてないんだよ。そんな事言ってたのか。つうか俺、絵嫌いなのか。」


 「え?あっ、なんか隣のクラスに事故にあった人がいて復帰するみたいな話し、してたかも。それって坂田さんだったんですね。。。でも、私、坂田さんが記憶喪失だったとしても、ちょっと、、、」

 

 「また、なんかしたの?」

と、俺を結城さんが呆れたように見る。

 

 「あのー何をしたのか良かったら、聞かせて貰えたり。。」と俺は野々宮さんに尋ねる。野々宮さんはため息をつくと、ゆっくり話し始めた。


 「私、1年生の時、坂田さんが美術補習で絵を描いていた時に話しかけた事があるんです。後ろから見ていたんですが、凄く繊細で、悲しそうだけど、強さがある様な絵を描かれていて。それで気になって、凄く良い絵ですね。絵、お好きなんですか?って聞いたんです。そしたら、描いていた筆をキャンパスに突き刺して破り捨ててしまって。俺は絵が死ぬほど嫌いだって。」

 

 「あー、めちゃくちゃやばい奴じゃない?俺?」


 「なんか、私の時より、結構普通に嫌な人ってレベルじゃないわね。というか、やっぱり中二病みたいな雰囲気が。」


 「私、それから怖くて、坂田さんに近づけなくて。でも、何となく、その絵捨てられなくて、私、実は内緒で、持って帰って。途中だったので最終的にどういう絵になるのか分からなかったんですけど。一応奥の画材室に張り合わせたの置いてあるんです。」


 「それって見ても良い?」

と俺は言った。

 

 「はい。持ってきます。」

と言って、野々宮は画材室に入っていった。

 

 「絵、見てどうするの?」

と結城さんは俺に尋ねる。


 「なんか感じるものあるかなって。こいつは何を思って絵を、描いていたのかなって。」


 「普通、記憶が戻るかなってとかじゃない。なんか、前もそんな感じの事言ってたけど、本当に他人だと思って自分をみてるわよね。」

 

 「あー、まあ」

と話していると、


 「これです。」と結城さんがイーゼルに立て、キャンバスを持ってきた。そこには、

 天使が悪魔に酸を掛け、溶かそうとし、もがき苦しむが、溶けた先から、細胞が再生する様な絵が描かれていた。ほとんど完成している様に見えるが、所々粗く、仕上げられてはいないような絵だった。


 「なんか、闇を感じる絵だな。」


 「やっぱ、なんか、自己陶酔とかしてそうじゃない。」


 「でも、どこか、惹きつけられませんか?」


 と三者三様に感想を言っていく。


 「まあ、わからんが、何か訴えたかった事があるのか。どうなのか。」


 「結局、貴方も分からないのね。」


 「これって、罪悪感の様なものを感じませんか?自分を悪魔に見立てて、天使に浄化してもらおうとするけど、結局悪魔の身体が生まれてきてしまうみたいな。」


 俺と結城さんは野々宮さんの方を目を丸くした。


 「そんな事まで、わかるのか?」


 「いえ、推測ですけど。こういう絵って、意味があることが多いですし、結構色々なメッセージが込められてたりするので、もしかしたら、その時の出来事とか遡ったら色々推測できるかもしれませんよ。」


 「そういえば、俊の親父が亡くなったのが13歳って言ってたから、結構近いかもな。でも事故で亡くなったらしいから、自己嫌悪するとも思えんが、あんまり関係ないのか?」


 「本当に記憶、ないんですね。」


 「悪いなあ。野々宮にしたことも全然覚えてないんだよなあ。」


 「私は呼び捨てなんですか?」


 「あー、そういえば。なんでだ。これも記憶に関係してたりしねえかな。っとまあ、一先分からんし、美術体験やるか。」


 

 一先、俊の絵を片付け体験の準備を始める。

 

 「普段はデッサンなんかもやるんですが、今回は好きに描いてみましょう。みんな同じテーマで3時間くらいで、簡単に描いてみましょう。多分完成まではできないですけど、触りだけでも。」

 と、野々宮は話し始める。

 

 「テーマは心にしましょう。心というテーマで思いつくものを描いて見て下さい。」


  簡単に画材の使い方を俺に教える。結城さんはもう知っているみたいで描き始めていた。


 「なんか、知ってるな。身体が覚えてるのかも。俺って、絵上手い方?」


 「はい。多分ものすごく上手だと思います。本当に画家の人みたいに。」


 「野々宮は?」


 「私は元々、絵が好きだったわけでもなくて、絵の才能もなくて、上手くはないかもです。」


 「何で美術部に?」


 「私、この学校、この美術部に入りたくて、受けたんです。」


 「凄まじい熱量だな。ここの美術部って、賞取ってたりとかすんの?」


 「いえ、多分賞とかは取ってないと思います。だけど、私、昔、身体が弱くて、結構生きるか、死ぬかの瀬戸際だったことがあるんです。だけど、病室に一度だけ、絵が送られてきたことがあるんです。その絵を見た時、何故か涙がボロボロ出てきて、強く、生きたいと、心の底から思ったんです。ただの絵なのに、こんなにも力強く、こんなにも人を元気づけられるんだって。」

と、心にある大切な記憶を撫でるように話す。


 「その絵を描いた人はどこの誰かは分からなかったんですが、キャンバスの裏にこの高校の名前が描いてあって。結局誰かは分からなかったんですが、何か手掛かりとか見つからないかなと。それで、私もいつかあんな絵が描けるようになりたいなって。でも、私はあんまり才能ないみたいで、全然上手く描けなくて。もしかしたら美術部もこのまま、廃部にしてしまって、私はあきらめたほうが良いかもとかも思うんですが。」

 と、あはは、といった感じで笑いながら、野々宮は話す。


 「あー、俺今回のテーマ思いついたわ。」


 「えっ、なんですか急に?」


 「まあ、お前が、さっきの絵にしたみたいにあとで、俺の絵分析してみろよ。」




 3時間経つと野々宮が、

パンっと手を叩き、

「はい。3時間立ちましたので、皆で絵を鑑賞しましょう。」


 そう言い、布を掛けた、イーゼルを3つ前に並べ、

「誰のからにしましょうか。」と野々宮が言うと。

 

 「私のからで良いわよ。多分一番下手だと思うし。」と結城さんが言う。

 そして結城さんが前に立ち、スッと布を外す。

 そこには穴の空いたコップに水が注がれ続ける絵が描かれていた。

 彼女らしい絵だなと思った。


 「満たされない。けれど注ぎ続け無ければ空になってしまう。みたいな感じか?」

 

 「私は人間の心の虚しさを描いているのよ。いくら注がれてもすぐに欲しくなってしまう。そんな心の在り方を。」


 「流石、理屈っぽくて、氷室さんがよく出てる絵ですね。でも、その絵を冷たく描いていないところが、何となく、氷室さんの心情が出ている感じがしますよね。人間の虚しさを描いているかに見えますが、その虚しさに、親しみを持っているような。」


 「へー、なんか結構、ひねくれてるようで、素直だよなー、結城さん。」と俺がからかうように見ると、結構本気で照れてそうだった。本人は意図してなかったようだ。

それにしても、よく見てるな野々宮は。


「じゃあ、次の絵どうします?」と野々宮が言う。


 「俺の絵は、最後にしてくれ。」と俺は言う。


 「貴方随分自信あるわね。ハードル上がるわよ。」

 

 「俺の絵は最後にしてくれ。」


 「わかりました。では私から。」

そう言い、野々宮は布を外す。

 野々宮の絵は、

真ん中に太陽が昇り、端に菊の花を描いた絵だった。太陽は神々しく描かれ、見るものに壮大さや、圧倒的な生命力を感じさせる絵だった。

 

 「とても温かみがあって、野々宮さんの明るさが伝わって来る絵ね。菊の花言葉って憧れとかよね。さっき言ってた目標に向かって頑張る心を描いているのね。」

 と結城が言った。


 「はい。自分で解説するのも変な感じですが、私の心情を描いたつもりです。」

 と野々宮は言う。


 俺は何も言わず、

「じゃあ次は俺な。」と言い。布をめくった。


 結城と野々宮は俺の絵を見て、驚きと疑問の表情を浮かべた。

 俺の絵は真っ黒の何も描かれていなかったからだ。

 二人はしばらく考えていたが、無言で黙っている俺に向かって、結城さんが言った。

 

 「貴方、これ、楽したいからこういう絵にしたんじゃないでしょうね。テーマでごまかして、絵を描く気なかったんじゃないの?」

 俺は何も言わない。


 「流石にちょっと失礼じゃない?貴方は遊び半分かもしれないけど、野々宮さんは本気で絵と向き合っていて、、」と言いかけると、野々宮が、


「待ってください。氷室さん。よく見て。」

 外の太陽が沈み始め段々暗くなると、俺の絵の全貌が見え始める。

 

 そこには雨に打たれながらも煌々と緑色に光り輝く紫陽花の絵が描かれている。

 遠くで雷は鳴り激しい雨に濡らされ、それにも負けず美しく咲き誇る紫陽花が描かれていた。

 教室の光が、日の光から緑に移り変わっていく。太陽の光を飲み込むように紫陽花の光が教室全体に染み渡っていく。

 二人はしばらく、黙り込み俺の絵を見ていた。その絵から、光は漏れ出し、二人の顔を緑色に照らしていた。


 「蛍光塗料を使ったのね。」

と結城が言う。

 「だから、最後にしたのね。日が落ちるのを待つために。でもこれは心というテーマとどう関係があるの。紫陽花の花言葉って、冷淡とかじゃなかった?」


 「いえ、緑色だと辛抱強い愛とかもあるんです。」と、野々宮は涙を流しながら言った。

 

 結城さんは「え?どうしたの野々宮さん、何か気に触ったりしたの?」


 「野々宮の絵はな、直向きに頑張る絵じゃないんだよ。そもそも憧れの対象と対比するように菊が置いてあるだろ。これは憧れになれない自分の日陰者の心を描いた絵なんだよ。よく見りゃ太陽光の届かないところに菊が咲いていて、それに凄く端に菊が描いてある。これは太陽を昔もらった絵に見立てて、描いてあるんだよ。そして、そこに憧れを持つも偽物にしかなれない自分の心を比喩した絵なんだよ。」


 「えっ?そうなの?」と結城が言う。

 「でも何で、貴方の絵を見て野々宮さんが泣くのよ。」


 「これは、私に宛てて描いた絵ですよね。坂本さん。」野々宮が涙を拭きこちらに問いかける。俺は黙って頷く。

 

 「日が落ちるのを待ったのは、奇をてらった事がしたかったからじゃないですよね。太陽が沈んだあと、困難な中美しく咲く紫陽花。紫陽花は日陰に咲く花であるけれど、そんななかでも美しく、辛抱強く咲き誇る。私に憧れではなく、自分の中にある美しさを誇れと言うような、メッセージを感じる絵です。」

と野々宮は解説する。


 「ああ、野々宮は、自分を才能がないと言っていたが、俺は野々宮の話しを聞く限り、才能は技術に宿るもんじゃないと思ったけどな。お前が、あの絵から感じ、あの絵から受け取った心そのものが、才能とも呼べるんじゃないか。技術よりも何よりも、本当に必要なのは心だろう。そして、その心はお前だけのものだし、大事なのは太陽の様に絶対的な存在よりも、お前はどう生きるのか、お前の美しさはどういうところにあるのが重要だとも考えられるんじゃないか?」


 「私がこの絵を描くってわかっていたんですか?」

 

 「多分、ずっと考えていたんじゃないのか?テーマを心にしたのも最初からこの絵を描こうとしてたんじゃないか?絵の具は最初からオレンジ色だったし、俺は何となくモチーフは太陽でいくんじゃないかと思った。そして、お前の話しを聞いた時にお前は、何か自分を日陰者の様に語る奴だなと思った。だから、もしかしたらこんな方向性の絵になるんじゃないかなってな。」


 野々宮は少し黙り、俺の方をしっかりと向いて言葉を発した。

 「坂本さんは、本当はそんな人なんですね。私はあの時から、怖くて話しかけられませんでしたが、もっと早く話してみれば良かったです。もしかしたら、ずっと何か悩んでいたのかもしれませんね。」と言った。


 「まあ、本当のところはわかんねえな。結局記憶はなくなっちまったし。」

 

 「でも、多分素敵な人ですよ。こんな絵が描けるんです。心の奥底はきっと。」

俺は少し心が痛んだ。記憶だけだったら確かに根っこの心は変わらなかったかもしれないが、俺はもう、心から丸ごと別人なんだから。

 俺も野々宮もそれ以上言葉を発しなかった。心で、色々な物を感じていたのだろう。


 


 「ちょっと!私を勧誘しておいて、二人でわかりあわないでよ。」

横から結城さんが入ってくる。


 「おいおい、お宅、空気読みなさいよ。」


 「いや、ちょっと置いてきぼりすぎるわよ。完全に私居ないものになってるし。」

 

 「お宅、感性あんまないんちゃいますか。全然分かってないじゃん。なんかしたり顔して解説してましたけど。」


 「うるさい。私は先帰るからね。」と結城さんは画材も片付けず美術室から出ていった。

あちゃーと結城さんを眺めていると。 


 「あの!美術部入ってくれませんか?」と野々宮が言ってくる。


 「あー、感動して矛先が俺に向いたか。でも俺そんなに絵好きじゃないかもだぞ。」


 「いいえ、そんな事ありません。あんな絵が描けるんですから。。。私、諦めませんよ。毎日でも勧誘しに来ます。」


 「たまに、無茶苦茶、強気になるな。まあ、分かったよ。とりあえず、席だけは置いとくよ。ただ、来るかは分からんぞ。」


 「今は、それで良いです。でもいつか、私に宛てて描いた絵じゃなくて、坂本さん自身のテーマの絵を描いてください。何か、私は坂本さんから、あの日見た、絵を感じるんです。」


 「あー、何でも感動したらホイホイやられちゃうだけじゃない。」


 「ち・が・い・ま・す。私は絵を見ることには自信があります。もしかしたら、あの絵と坂本さんには何か繋がりがあるかもしれません。坂本さんが、この学校に来たのは偶然じゃないかもしれません。」


 「そこまで行くと、スピリチュアルだぞ。つうか、俺のこと怖かったんじゃなかったのか?」


 「ありゃ、そういえば、もう全然怖くないですね。」


 「はー、コロコロ変わる子でんがな。まあ、一先今日は帰るわ。それなりに楽しかったわ。」


 「あっ、片付け私がやっと来ますから良いですよ。」


 「いや、手伝うって、こんな時間出し、駅まで?家、別駅?まで送ってくぞ。」

 

 「本当ですか?まだ色々聞きたいことあるので丁度良かったです。」


 「全然遠慮もしなくなりやがりましたね。」


俺等は片付けをしてその日は帰った。



翌日、先に結城さんは来ていた。

 「昨日の事なんだけどさ。」

 と俺は結城さんに話しかける。


 「あー、なにまだなにかあんの?」と結城さんはふてくされて返す。


 「いや、昨日帰ったあと、美羽に父親の事聞いてみたんだよ。何か、画家だったらしいぞ。俺の親父。」


 「画家?だから貴方絵、上手いわけね。」


 「いや、それよりも、何か、引っかからないか?野々宮に送られた絵に、この学校の名前が書いてあり、俺はこの学校に入り、あの絵を描き、昨日野々宮と絵を描き、野々宮は俺の絵から、あの絵を感じると言う。スピリチュアルじゃないが、ちょっと俺も何となく気持ち悪いぞ。」


 「あの絵を描いたのは、貴方のお父さんだったとか?それは飛駅し過ぎじゃない?」


 「まあ、そこまで行くとできすぎだが、何か引っかかる。何か、もっと絵が残ってたりしないかね。」


 「それを聞くなら野々宮さんが最適じゃない?」


 「まあ、そうだな。そういや、俺美術部入れられたぞ。」


 「何か、ちょっとムカつく話ね。私が振られたみたいじゃない。」


 「まあ、描かせてみたら俺の方が逸材だったっていう。」


 「私も入るわ。美術部。」


 「え?何で?ツンデレか?」


 「うるさい。」


 「お宅、そんなキャラだっけか?」


 「うるさい。」

 

 「あのっ!」

と急な声に俺等はびっくりして、声の方を向いた。そこには、背の低い、少年のような見た目の男の子が立っていた。

 

 「なんだ、急に」

と俺が言うと、


 「何度も声かけましたけどっ。」と返される。

 「坂田くん、記憶なくなっちゃったって聞いたけど、僕との約束覚えてないの?」


 「約束?」

 俺と結城さんは、同時に言葉を発し、顔を見合わせた。


 

 


 





 


 

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