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冬の童話祭2026

トロルの箱

作者: 六福亭

 ある朝、ハルヴォルが家のとびらを開くと、大きな木の箱が置かれていました。


 開いてみると、中には毛むくじゃらのトロルの子が入っています。


 とてもみにくいトロルでしたが、ハルヴォルに飛びかかってくることはなく、大きな目で驚くハルヴォルをじっと見返すばかりでした。ハルヴォルがトロルを箱から出してやり、ミルクやパンをあげると、おいしそうに食べました。


「親に捨てられたのか。ひどいことをするもんだ」


 あわれに思ったハルヴォルとその妻は、そのトロルを我が子として育てることにしました。


 トロルとの生活は、全くとんでもないものでした!


 毎日、ミルクを10びん、パンを15枚、それにオムレツを8個もぺろりと平らげ、まだ物足りないようなのです。

 薪を切ってこいと言えば森の木々の半分も切り倒し、近くに住む子どもたちはにらめっこでみんな追っ払ってしまい、親子げんかでもしようものなら、父も母もひょいと屋根の上にのっけて知らんぷりをするのです。ハルヴォルの家は、毎日大さわぎでした。(でも、いいこともあるのです。ハルヴォルの家に入り込んだどろぼうは、トロルに叩き出されて二度と来ませんでした。また、みんなで海に遊びにいった時は、ハルヴォルたちを背中にのっけて泳いでくれました)

 

 時が経ち、近所の子どもたちは皆大人になりました。トロルも大人になった……のかは、よくわかりません。背丈も顔も、はじめて家に来た時とちっともかわっていないからです。トロルは相変わらず家にいて、たくさんごはんを食べ、馬鹿力でさわぎを起こしていました。


 ところがある日、トロルはいなくなってしまいました。さよならのあいさつも、書き置きもありません。ハルヴォルも妻も、トロルがどうしていなくなったのか、どこにいったのかさっぱり分かりませんでした。


 トロルが去った後の家は、そりゃもうがらんとしてみえました。


 ハルヴォルが家の掃除をしていたある日、久々に、トロルがかつて入っていた木の箱を見つけました。妻を呼び、2二人でなつかしさにひたります。トロルがはじめて家に来た時のこと。それからのにぎやかな日々。トロルの乱暴なところ、やさしいところ。


 二人は、トロルの残した宝物(……といっても、がらくたのようなものばかりです)や、服をしまおうとして、箱のふたを開けました。


 中をのぞいてびっくり、中にはきらきら光る黄金がぎっしりとつまっています。


 二人は顔を見合わせ、それからしみじみとつぶやきました。


 __黄金なんていいから、たまには帰っておいで。かわいい我が子よ。


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― 新着の感想 ―
色々なことを起こしていたトロルですが、それでもかわいがってくれていた彼らに、恩返しをしてくれたのですね。 最後の旦那さんの言葉がいいですね。 読ませていただきありがとうございました。
良いお話でした。 トロルの子を偏見なく我が子と見たハルヴォル夫妻、素晴らしいです! トロルも良い子で良かったです。 今までいたものがいなくなると寂しいですよね。 最後のセリフに共感しました。 読ませて…
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