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自分のなかのことなのに

作者: あまなす

月がかわったというのにそう感じられないのは、まだまだ高い気温のせいか、それとも、わたしのせいか

長く着ていなかった制服が、なんとなくさまになって見えるのは、成長というものか、それとも、ただの錯覚か


たくさんの人たちとすれ違わないといけない駅は、あいかわらず鬱陶しく、煩わしい

そんな場所に、毎日、足を運ぶのかと思うとユウウツにもなるけれど、イヤなのにやめようともしない自分を思い、哀しくて泣けてくる


学校のみんなに会っておはようを言えるよろこび

くだらなくも青春を感じていられるには必要不可欠なおしゃべり

先生のお説教を聞き流せるだけの根拠のない自信

学校のみんなにさよならを言わないといけないさみしさ

また明日ね、と言えることが、すこしの希望


無意識が指を画面にすべらせる

すこしは前向きになりたいのに

すこしはね

すこしは


うすらぐ夏の気配

ちょっとずつ

秋のもの

ちょっとずつ

ちょっとずつ


いまは

夏なのか

秋なのか


空が秋の雲だと気がついたとき、わたしのなかにはすでに秋がやって来ていて、忙しいから忙しくないから、勉強してるとかしてないとか、あのときの男の子がどうしたことした、そのほかもろもろあれやこれやで自分のなかに秋が来ていることに気がついていない


自分のなかのことなのに


きちんと見てみると、そこここに秋は、たしかに来ている


ぶどうを食べたい

その気持ちは

あっけなく

すぐ消えてしまった


ぶどうを食べたい


その気持ちがだんだん長くなっていって、強くなっていって、大きくなっていって

そうして秋がやってくる


わたしが食べるぶどうは、きっとあまい

すっぱくなんかない


すっぱいぶどうがあまくなって、そうして、秋がやってくる


暑いのは好きじゃないのに、夏なんてなくてもいいのに、そう思っていたけれど、きちんとおなかにものを入れると、すこしは前向きになれるみたい

そのことを知った夏は、もうすっかり過去のこと









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