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87.運命

戦士たちの姿は消えていった。


部屋には王と俺だけが残っていた。

王は俺に伝えたいことがあるのだろうか。


いや、王は俺が聞きたいことがあることを

知っているのだ。

ずっと聞きたかったこと。


「父と母のことをご存知だったのでしょう?

なぜ止めなかったのですか?」


王は待っていたかのように頷いた。


「其方は止められたら愛する人をあきらめるのですか?」


「……いえ。諦めません」


王はふっと笑った。


「父親そっくりじゃ」


「え?」


王は遠くを見つめていた。

「もし私が止めていたら、もし其方の父が

止められて諦めるような男だったとしたら、

其方は存在しない。


でも其方は存在する。

それが宿命なのだ。


いくら王とはいえ、宿命を変えることは出来ぬ。


其方の父と母が恋に落ちたのもまた宿命。


だが王でなくとも変えられるものもある」


俺は王に問うた。


「変えられるものとは?」


「未来。運命ともいう。

其方の未来。自分の力で変えていけ。

其方の思うままに」


王は優しく微笑んだ。

そして姿どんどんと薄れていく。



瞬きをするくらいの時間に感じた。

実際、瞬きをし、目を開くと俺は太楽国にいた。



今までのことは夢だったのではないかと思った。


だがふと隣を見ると葵がいた。


「え?なんで?」


どこかで思っていた。

この世界に戻ったら、俺はただのプラネタリウムで

働く庶民。


相手はこの国の帝女の娘。

二度と会うことは出来ないのではないかと。


一方的に俺が見ることはあるかもしれない。

テレビや新聞。

今は隠された存在でもいずれはこの国を司る人。

俺のことなど、いずれ忘れていく。


そういえば、こんな戦いもあったなと

振り返る時、その記憶の俺には顔はあるのかなと。

戦士Aとして語られるだけなのではないかと。


「一緒に行ってほしいところがあるのだけど」


葵が俺に聞いた。


いいのだろうか。

期待などないといえば嘘になる。

だが俺は、俺の運命は。

どうすればいいのだろう。


だがとりあえず今の答えることにした。



「ああ。どこに?」


葵は俺の腕を掴み、歩き出した。



******************


帝女様の館では、華やかな祝典が行われていた。


黎子様の即位式だ。


少し離れた場所から俺と葵はその姿を見ていた。

そこに鞠子様がやって来た。


「鞠子様?」


鞠子様は優しく微笑んだ。


「拓海さん。世界を守ってくれてありがとう。

そして葵のことも。

本当にありがとう」


鞠子様が頭を下げた。


「やめてください!

大したことはしてませんので!!」



俺は慌てて首を振った。


「ところで帝女の座は黎子様に代わられるのですか?」


「そうなのよ、本当に大丈夫なの?って私も聞いたのだけど。

お母様を苦しめた人なのよ」


葵が少し怒りながら話す。


「本当はこうなるはずだったんだもの。

母も姉を愛していたのよ。


ただ、闇の力に影響されて、

姉を閉じ込めるしかなかったの。


閉じ込めなければ、姉の命が危なかった。


母も私と同じ。

闇の力のせいで、体力を奪われ

人々の前で元気に振る舞うのさえ

苦しくなっていた。


でもきっと貴方たちが闇を消し去ってくれると

信じていた。


私はそれまで帝女の座を守っただけ」



運命。

鞠子様は自分の手で運命を変えたのだ。

俺もやはり諦められない。


俺は葵を見つめた。

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