86.五つの光
王は五人の戦士の前に立ち、戦士たちにたずねた。
「珠は其方たちを選んだ。
さてその理由はなぜかわかるかな?」
五人の戦士は顔を見合わせた。
大地が悩みながら答えた。
「報われない人生だったから?でしょうか」
王はにっこり笑った。
「五つの光。深い闇を消し去る……
赤、恐怖を乗り越える強い魂」
王は優輝を見つめた。
優輝の隣でスコルプが尾を上げると、
ぼんやりと映像が映し出された。
そこには炎の中で火を操り、
戦う優輝の姿があった。
「黄、己より強い者に立ち向かう魂」
王は次に大地を見つめた。
リュープスが遠吠えのように声をあげると
風が起き、煙が出来た。
そこに映像が浮かび上がった。
そこには暴れている父親と思われる男に
蹴られている大地の姿があった。
そしてリュープスがさらに声を上げると
煙は形を変え、陸と共に双子の敵を相手に
戦う大地の姿が浮かび上がった。
「紫、どんな時も逃げ出さない魂」
晃の前に王は立った。
リンクの目が光り、映像を浮かび上がらせた。
部屋の中で食器を割り、暴れている母親と思われる
老女の姿があった。
リンクが瞬きをすると映像が切り替わる。
そこにはすみれを守り、戦う晃の姿が映る。
「緑、己の罪を認め、悔い改める魂」
駿が王を見つめた。
ハイドルが体をくねらせ、
鱗を飛ばすとキラキラと光る鏡が出来上がった。
そこには沢山のカメラの前でフラッシュを浴びる
駿の姿があった。
そして、鏡は裏返り
俺たちの前で土下座をして謝る駿の姿があった。
「そして、青」
王は俺の前に立った。
「愛にあふれる魂」
王は館の庭を指さす。
小さな池があり、水面がゆらゆらと揺れた。
そこに見つめ合う真琴と青の姿が浮かび上がる。
エイクも青月の肩にのり、ピーと鳴いた。
王が手を動かすと、葵と共に戦う俺の姿が浮かび上がった。
王はゆっくりと手を下ろす。
「五つの魂が強い絆で結ばれた時、
クラリサの五つの光が呼び合うという。
おそらく其方たちが強く信じ合えていたから
クラリサは呼び合ったのだ。
だが、それも全て伝説であり、
真実は誰もわからない」
王はまたにっこりと笑い、
「魂など誰にも見えぬ。
だが、私は強く感じる。五つの美しい光を」
我らをじっと見つめた。
王は駿の前に立ち、駿に伝えた。
「次はここに来るのだぞ。
昏哭界ではなく。
そのように生きてみよ」
駿は大きく頷いた。
「もちろんです。人生は一つの旅。
その旅を終えた後、再びここでこの仲間たちと
再会したいので」
俺は仲間たちに向かって頭を下げた。
「本当にありがとう。
また必ず会おう」
葵も含め、自然と輪が出来ていた。
顔を見合わせ微笑む。
それぞれが自然と手を差し出し、
重なりあった。
そして一つずつ手のひらは消えていった。




