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80/86

80.終わりと始まり

大きな弓。

大きく、そして美しい。

真っ白な弓に五つの光を散りばめた矢。

どんな闇でも打ち勝てる、

そんな強さを感じる。



葵が弓を構え、疾風へと照準を合わせた。

疾風の怒りはもはや一人のものではないようだ。


何千年とこの闇の世界に溜まった怨念。

長い長い間、クラリサを待ち続けた者たちの

復活への執念。


その声は聞いたことのないような

恐ろしさと苦しみを放っている。


「諦めさない。

この世を闇にはさせない。絶対に!」


葵が弓を放った。


美しい弧を描き、弓は疾風へと向かう。

まるで時が止まったかのように、全ての者が

弓の行方を見守った。



闇の力を封印するために作られたクラリサ。

天澄界、太楽国の全ての願いをのせ、

今、闇の獅子ヴェルグラスへと向かう。


その矢はヴェルグラスの動きを封じ、

胸元へと一直線に突き刺さった。


「やめろーーーーーー」



地響きが鳴り、地面が揺らぐ。

ヒビが入り、ヴェルグラスの館が

崩れ始める。



太陽のような光を放ち、

一瞬何も見えなっくなった。


次に目を開けた時、胸に矢が刺さった

疾風の姿があった。



「なぜ、なぜだ。28年も待った。

ただ、俺は、真琴と幸せになりたかっただけ……。


もしあの時、青月に本当の気持ちを伝えていたら、

青月と真琴は恋に落ちることはなかったのではないか。


ずっと後悔していた」



疾風が俺を見つめる。


「許せない。お前など生まれるはずではなかった。

青月が真琴を愛さなければ、

真琴が死ぬこともなかった。


お前のせいだ。お前がこの世に生まれたから」



「それは違う」


葵が前に出て俺を見つめた。



「愛することは誰にも止められない。

宿命は変えられない。

真琴さんを殺したのは、青月さん?


あなたが28 年前、ヴェルグラスの誘いの

のらなけれな、真琴さんを失うことはなかった。


あなたが一番わかっているはず。


だから真琴さん生き返らせたのでしょう?」



疾風の命はもう尽きようとしていた。

弱々しい声で呟く。



「すまない……真琴。ずっと、謝りたかった。

俺がしたことを。すまない」



疾風は人形のような目をする真琴に近づき、

そして抱きしめた。


そして動かなくなった。


疾風。

強く、正しい人だったのだろう。

俺の父と本当は親友であった人。


彼が行ったことは同情には値しない。

だが、ただとても悲しかった。



「終わったのか?」


俺は葵や優輝、大地、駿、晃を見た。


闇の力は去ったのか?

いや、違う。


そう鞠子様が言っていた。


ヴェルグラスが叶えた願い、

その全てを消し去らなければならない。



もし死んだ子供を復活させたとしたら

子供さえ。


……疾風の腕に抱かれた真琴の目が

知らぬ間にこちらを見ていた。


「拓海なの? 私の拓海?

会いたかった」



真琴の目から涙が溢れていた。

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