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77.エイク

ピー。ピー。


どこかで聞いた鳥の鳴き声。

懐かしい。


いつもこの鳴き声と一緒に

聞いていた声がある。

優しい声。


真琴……。



誰かが私を呼んでいる。

誰?

そこにいるのは誰?


思い出せない。

でも絶対に忘れてはいけない人。

大切な人……。



****************


エイクが真琴を呼ぶように鳴いた。

人形のようだった真琴の目に光が少し宿った気がした。



「うるさい!黙れ!!」


疾風が大きく手を振り払った。

疾風の手は、もはや人間ではなかった。


爪は獣のように長く鋭く、

指先は黒い獅子の様に変わっていた。


声も疾風の声ではなくなっていた。

ヴェルグラスの声。


そして疾風の手からは爆風が起き、

エイクに向けられた風でエイクは大きく飛ばされた。


疾風の力は想像もつかないほど強くなっていた。

本当に勝てるのか、自信を失うほどに。



「エイク!」


それでもエイクは真琴に向かって、

ピーと泣き続けた。


その声はとても切なく、

悲しく響く。



*******************


エイク。エイク。


私を呼ぶのはエイク?


その奥に優しい顔が見えた。


愛しい人。



「違う。お前が愛しているのは疾風だ」


低く恐ろしい声が聞こえる。


「目の前にいるだろう?

お前を誰よりも愛している男が。


全て忘れろ。お前は疾風を愛しているのだ。

二人でこの世界を征服するのだ」



忘れる?

そんなことが出来るならどんなに幸せだろう。


私が愛してしまったばかりに、

たくさんの人を不幸にした。


死んでもなお、忘れられないこの想い。



エイク。

エイク。


聞こえる。


私の愛していた人は……青月。



でももう時間がない。

私の心がヴェルグラスに乗っ取られるまで、

あと少し。


エイク。ありがとう。

私を呼んでくれて。

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