77.エイク
ピー。ピー。
どこかで聞いた鳥の鳴き声。
懐かしい。
いつもこの鳴き声と一緒に
聞いていた声がある。
優しい声。
真琴……。
誰かが私を呼んでいる。
誰?
そこにいるのは誰?
思い出せない。
でも絶対に忘れてはいけない人。
大切な人……。
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エイクが真琴を呼ぶように鳴いた。
人形のようだった真琴の目に光が少し宿った気がした。
「うるさい!黙れ!!」
疾風が大きく手を振り払った。
疾風の手は、もはや人間ではなかった。
爪は獣のように長く鋭く、
指先は黒い獅子の様に変わっていた。
声も疾風の声ではなくなっていた。
ヴェルグラスの声。
そして疾風の手からは爆風が起き、
エイクに向けられた風でエイクは大きく飛ばされた。
疾風の力は想像もつかないほど強くなっていた。
本当に勝てるのか、自信を失うほどに。
「エイク!」
それでもエイクは真琴に向かって、
ピーと泣き続けた。
その声はとても切なく、
悲しく響く。
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エイク。エイク。
私を呼ぶのはエイク?
その奥に優しい顔が見えた。
愛しい人。
「違う。お前が愛しているのは疾風だ」
低く恐ろしい声が聞こえる。
「目の前にいるだろう?
お前を誰よりも愛している男が。
全て忘れろ。お前は疾風を愛しているのだ。
二人でこの世界を征服するのだ」
忘れる?
そんなことが出来るならどんなに幸せだろう。
私が愛してしまったばかりに、
たくさんの人を不幸にした。
死んでもなお、忘れられないこの想い。
エイク。
エイク。
聞こえる。
私の愛していた人は……青月。
でももう時間がない。
私の心がヴェルグラスに乗っ取られるまで、
あと少し。
エイク。ありがとう。
私を呼んでくれて。




