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73.救い

駿はきっとすみれの仇をとってくれるだろう。

時間との戦いだ。

俺たちは前へと進む。



廊下の先には次々と新しい部屋が続く。

また新しい部屋へと入る。


薄暗い、だが広い。


そこには2人の男が立っていた。

顔も背丈もほぼ同じ。

分身かと思うほどに瓜二つだ。


「双子か……」


拓海がつぶやいた。


明らかにヤバそうだ。

気配でわかる。



「ここは俺に任せて先に行け」


俺は拓海に告げる。


「大地。お前がいないとこの先へ進のも、心細い。

だが、時間がない。先に行くしかないのか?」


「心配するな。さっさと片付けて後を追うさ」


「わかった。お前に任せた。すぐに来てくれよ」


俺は頷く。だが、本当は少し感じている。

俺だけで勝てるのか?



だが、もし……もし犠牲者が出るとしたら

最小限におさえるべきだ。

俺ならば、相打ちにまでは持っていけるだろう。

いや、持っていかなければならない。


最低限、相打ち。

いや、そんな事を考えている段階で負けているのか。

強くなったはずなのに、弱い時の記憶が時に

邪魔をする。

すぐに最悪の事態を考える。

勝つことを考えろ。



拓海達を前に進ませ、俺は双子の前に立った。

隣でリュープスが黄金に光る。


双子はそっくりな動きだが、それぞれ単独で

動き、俺とリュープスの目を眩ませる。

言葉は話せないらしい。


だが双子はテレパシーでもあるのかと思うほど、

無駄のない動きを連携させていく。



俺は接近戦のほうが得意だ。

だが、なかなか近づくことが出来ない。


近づこうとすると、もう片方が背後を狙ってくる。


双子はそれぞれ長い薙刀のような武器を持ち、

俺の動きを封じ込める。


一瞬の隙を狙い、リュープスが飛びかかった。

だが、薙刀に振り払われ、大きく飛ばされた。


「リュープス!」


リュープスに駆け寄ろうとした時だった。

もう片方の男が俺の背後に入ったのが見えた。


見えたが間に合わない。


何が相打ちだ。

何がすぐに片付けて後を追うだ。

やっぱり俺は肝心なところで弱いのか。


その時だった。

背後からブーメランのようなものが飛んできて。

振り下ろされた薙刀を吹き飛ばした。



俺は驚きブーメランが飛んできた先を見た。


そこには……子供が立っていた。


「まさか……りく?」


「兄ちゃん!後!」


すぐ後にもう片方がいた。

近い。でもそう、俺は接近戦なら自信がある。

やっと近づけた。このチャンスを逃してはならない。


俺は体を縮め、薙刀の隙間に潜りこみ、

男の腹のあたりまで入り込む。

そして腹に刀を突き刺した。


男の言葉にならない叫び声が響く。



刺された片割れをみたもう片方は

激しい叫び声をあげ、薙刀を振り回す。


「陸! 左にブーメランだ!」


陸のブーメランが綺麗な弧を描き、

片割れの頭に直撃する。

その瞬間、俺は走り、ジャンプをし、

片割れの頭の真上から刀を振り下ろす。


グエーーーーー


なんとも言えない叫び声をあげ、

双子は同時に倒れた。


俺は肩で息をしながら陸を見つめた。

陸は俺の元へ走ってきて、俺に飛びついた。


陸は確か、亡くなった時は6歳だったはず。

たった6年しか生きることができなかった。

本当ならもっともっと、生きていられたのに。



「兄ちゃん!勝ったよ!さすがだね。

僕も少しは役に立ったかな?」


陸は嬉しそうな笑顔を見せた。

俺の目から何かが溢れた。


俺は泣いているのか?



「天澄界にきてからずっと探していた。

ごめんな。守ってやれなくて。


ごめんな。迎えに行けなくて」


ずっとずっと言えなかった思い。


どんなに強くなっても、

心の底で俺が俺を笑う。


お前は弟すらも助けられなかったじゃないかと。



俺は陸を抱きしめた。



「王がね。連合軍に入れって言ったんだ。

僕は子供だから足手纏いにならないですか?って

聞いたら、君にしか助けられない人がいるからって。


兄ちゃんに会えるからだったんだね!」


陸はあどけなく笑う。


俺は抱きしめた手にさらに力を込めた。


「いや、本当にお前にしか助けられない奴がいたんだ。

ここに……。


本当にごめんな。俺を赦して……」



陸が俺の顔を触り、


「兄ちゃん。大好きだよ。

生まれ変わっても、またブーメラン教えてね」



「うん。もちろんだ」



王はわかっていたのだ。

俺が何に救われるかということを。


「王、たしかに私は救われました。

体だけでなく、心を……」


俺はもう一度陸を抱きしめた。


「さあ行くぞ。

すぐに後を追うって約束したんだ。

世界を救い行こう」



「うん!」


王、もしこの戦いに勝つことが出来たら、

願いを変えてもいいでしょうか。

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