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69.滝の中へ

滝の中に入った。

だが水のカーテンは幾重にも重なり、

行く手を阻む。


俺はどうやら水の使い手らしい。

俺が手をかざせば、水の流れを変えることが出来た。


力を込め、水の向きを変える。

仲間たちを濡らさぬよう、滝の中へを送り込む。


さすがに少し苦しくなった時だった。

急に力が軽く感じた。


振り向くと大地が俺の後ろから風を送ってくれていた。


大地は風の使い手だ。


「大地、ありがとう」


大地は照れ臭そうに頷いた。


最後の水のカーテンだ。


優輝と駿が先に中へと進んだ。


「中は問題ない。早く」


優輝の声がした。


俺たちも中へと進む。

真っ暗なトンネルのようだ。



リンクが目から光を放ち、

中を照らす。


道が見えた。


「こっちだ!」


駿が指を指す。

晃が駿をじっと見つめた。


「本当に信じていいんだな?」



「私は信じる」

優輝が晃に向かって話す。


「晃は知らないだろうけど、私と葵さんと拓海は

危ないところを駿に助けてもらった。


人を助けるって……そう簡単にできることじゃないと思うの」



俺と葵は頷いた。


大地がつぶやく。

「そうだな。

俺は大切な人さえ助けられなかった」


俺は大地のそばへ行き、そっと肩を叩いた。


「さっき助けてくれたじゃん?」


「え?」


「俺が水の向きを変えている時、後から風を送ってさ。

あれって自分のためじゃないだろ?」



「……苦しそうだったから」



俺は優輝、大地、晃、駿、そして葵の顔を見渡した。


「俺、思ったんだ。

みんな珠をもち、特殊な力を持っている。

でも直を失い、すみれも……。


ずっと苦戦しているよな。


そりゃもちろん昏哭界の奴らが強いからかもしれない。


でももしこの特殊な力を合わせたら……。


さっきみたいに水と風。

そんな風に合わせたら、俺たちはもっと強くなれる」


優輝と大地、晃と駿、それぞれが相手を見つめている。


「俺たち仲間だろ?

みんな自分以上の仲間のことを思っている。


それなのにみんな個々で戦っているのは

もったいないと思うんだ。


未来を闇にさせない!

その想いはみんな同じはず。


だから……本当の仲間にならないか?


チームワークなら絶対に昏哭界の奴らに

負けるはずない!」



連合軍の戦士たちを見渡す。


みんなが頷いている。

特殊な力をもっていない者もみな、

力を合わせてここまで来たのだ。


気づけば大きな輪が出来ていた。

葵を中心に大きな輪が。


これから待ち受ける敵はおそらく強敵だ。

疾風と戦うことにもなるだろう。


だが一人じゃない。

一人では変えられない未来も、

仲間がいれば変えられる。


そう、俺たちは行く。

暗い道の先へ。

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