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64.二人の戦士

「いったん、落ち着こう」


背後に敵の気配が消えた。

俺たちは走って走って、少し広い場所まで出た。



4人とも肩で息をしていた。

4人。

俺と葵と優輝と……誰だ?

緑の戦士なのか?


「ちょっと待って。

確認したいことがありすぎる」


優輝が口を開いた。


「まず、あなた誰?」


緑の鎧をつけ、手首に蛇をまく男に

優輝が尋ねた。


「俺は片桐 駿。

俺は……昏哭界から来た」


そういえば、さっき裏切っただの寝返ったのだの

言われていた。


片桐駿はいきなり、俺たちの前で土下座をした。


「え? どうしたんですか?」

葵が驚く。



「すまない。俺はその貴女の……身代わりの方を」


駿は、下を向き言葉を詰まらせる。



「すみれ?すみれに何かあったの?無事なの?」


駿は俯いたままだ。


「ねえ! 答えて! すみれを……殺したの?」



葵が駿の肩を揺らして問い詰めた。


「すみれさんは……申し訳ない。

許してくれとは言わない。


この世界ですみれさんを、殺したのは私ではない。


だが、この世界に来た理由は私にある」


駿が顔をあげ、俺たちを見つめた。


「お前は、連続通り魔なのか?

すみれはおそらく、連続通り魔の被害者だったと思う」


優輝が駿に聞いた。


「俺は弁護士だった。

俺は殺人鬼を無罪にした。

そのせいで、すみれさんは……命を落とした」


駿は頭を下げた。そしてそのまま言葉を続ける。


「俺はなぜ昏哭界に来たのかわからなかった。

そんなはずはない、何かの間違いだ、ずっとそう思っていた。


クラリサが奪われたと知り、俺は喜んだ。

ヴェルグラスを復活させ、世界の均衡が崩れることを

望んだ。


だが、すみれさんに言われた一言が俺を変えた。


許さない。


そう、俺は許されないことをした。

わかっている。


償えないことはわかっている。

すみれさんを生き返らせることは出来ない。

でも何か、何か償えないか?そう思った時にこれが」


駿は顔をあげ、手のひらの上にのせた

緑色の珠を見せた。


「珠に導かれここまで来た。

そして君たちと巡り会ったのだ」


俺たちは顔を見合わした。


緑の戦士は疾風隊長のはず。

だが、みんな思っていた。

誰も口にしないが心の中で。


なぜ疾風隊長の鎧は緑に光らない?

優輝も大地も晃も、珠の戦士たちの鎧はみな光を放つ。


そしていま、目の前にいる駿の鎧も敵を前にした時、

美しい緑色を放った。


でもわからない。

なぜ疾風隊長が嘘をつく必要が?



「いったん、わかった。

そしてもう一つ聞きたいことがある。


拓海! どういうことだ?

そしてその鷲は?」



俺の肩にはエイクが乗っていた。

小さくなったとはいえ、たいがいデカい。

重いし、かさばる。

だが、俺から離れようとはしない。


「目が青くなったね」


葵が俺の顔を覗き込んだ。


「青……もしかして盗まれた青い珠?」


「赤ん坊が見えた。赤ん坊の左目に男が手を翳していた。

あれは誰だ?」



駿が口を開いた。

「かつて天澄界のクラリサを奪った者は、

ヴェルグラスの誘いに乗った戦士と聞いている。


何かの理由で君の目に埋められたのかもしれない。


きっとクラリサを奪い返せば何かがわかる」


とにかく、わからないことだらけだ。

だが、4人では危険だ。


早く合流しなければならない。

そして確かめなければならない。


本当の緑の戦士が誰なのかを。

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