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63.青の戦士

今、葵を守るのは俺と優輝だけ。

圧倒的に不利な状況だ。

少しでも早く、前に進まなければ。


「そろそろ行こうか」


少しの休息の後、俺たちは立ち上がった。

その時だった。


背後から馬が駆ける音がした。

しかも複数だ。


優輝の鎧が赤く光る。

「おとりだと気づかれたか」


俺は葵に手を差し伸べた。

葵の手は少し震えている。


「こちらは3人。勝ち目はない。

ここは逃げよう」



優輝の意見に俺も頷いた。


優輝が火の壁を作り、先へと進む。


しかし馬のスピードが勝り、

すぐ後へと敵が近づく。


顔に傷のある大男が見えた。

その後にも数十人以上、悪い顔をした奴らが見える。

その中の一人が何か液体をかけてきた。


この匂い……。


「優輝! 火を出すな。油だ!」


優輝が急いでかざそうとしてた手を止めた。



「拓海君……」


葵が少し不安そうに俺を見つめる。


「とにかくここを抜けるぞ」

葵が頷く。


「拓海、だがそうもいかないかもしれない」


すぐ近くまで敵が迫っていた。


「味方と合流できるまで時間を稼ぎながら逃げよう」


葵を優輝と守りながら走る。

スコルプが大きくなり、後方の敵を蹴散らしていくが、

数が多すぎる。


大男が優輝を狙い、攻めてきた。


「危ない!伏せろ!」


どこからか聞いたことのない声が聞こえた。

優輝は咄嗟に体を伏せた。


優輝の後方からうろこ型の手裏剣が多数、

飛んできて、敵に命中していく。



何だ?敵か?味方か?


俺と優輝は手裏剣が飛んできた方向を見つめた。

木々の影から、緑色の鎧をつけ、

エメラルドグリーンの蛇を手首に巻いた男が出てきた。



「お前は誰だ?」


「説明は後だ」


男はゆっくりと前へ出た。


顔に傷のある大男がすぐそばにやってきた。


「駿? 駿なのか?

どういうことだ。裏切ったのか?」



「……悪いな。伊織様に伝えてほしい。

俺はただ、罪を償いたいのだ。

俺がおかした罪を……」


「ふざけるな。ただじゃ済まないぞ!」

大男は駿と呼ぶ男に斬りかかる。


駿の鎧は美しい緑色の光を放ち、

蛇はうろこの手裏剣をとばしながら

次々と敵を倒す。


緑色の戦士は疾風隊長のはずだ。

俺たちは理解が追いつかない。

しかし目の前の敵を倒さなければこちらが殺られる。



敵の数に押され、一瞬の隙を与えてしまった俺の剣は、

敵の刀に弾かれ宙に舞った。


何をやってるんだ。

あれだけ訓練もしたのに。

考えろ!



「拓海君!もう私のせいで誰も失いたくない!」


葵が俺を庇おうと俺の前に出た。


ふざけるな、拓海!

お前は何しにここへ来たんだ?

葵を守るため! 未来を闇にしないため!

親父との約束を守るため!


葵だけは絶対に守る!


俺は葵を押しのけ前に出た。


「親父、悪い……。

約束は守れないかもしれない。


でもこいつは絶対に守る」



っ痛……。


左目に痛みが走った。

熱い。


「拓海君、目が……青いよ」


何いってんだ。こんな時に。


気がつけば俺の鎧が青く光り始めている。

どういうことだ?



周りが暗くなった。

太陽が翳ったのかと思い空を見ると、

大きな鷲が飛んでいる。


ピー。


鷲の鳴き声が俺の、誰かの記憶を呼び覚ます。


エイク?


「エイク!」


エイクが嘴で咥えていた青く光った剣を

俺の前に落とした。


剣は土に刺さり、光を放つ。


俺は剣を引き抜き、目の前の敵を斬る。


左目を触ると誰かの記憶が見えた。


一人の男が赤ん坊の左目に手をかざす。


まさか、あの赤ん坊は俺?……。


葵と優輝が驚き俺を見ている。


まあいい、説明しろと言われても俺だって

わかんねぇ。


とにかく戦う、それだけだ!


優輝の前に油が撒かれ、

火矢が撃ち込まれた。


俺たちは前方を火に囲まれてしまった。


「どうする?」


優輝が俺を見た。


「火の消し方は知らないが……」



俺は自分の手のひらをじっと見つめた。

そう、わかったんだ。

エイクが来た時、俺の目が青く光った時。


「火は……、水で消えるんじゃね?」


俺は空を見上げた。


「エイク!」


エイクはさらに大きくなり、俺の真上に翔んできた。


俺はジャンプをしてエイクの片足につかまり、

ひょいとエイクの上に乗っかった。


エイクは俺を乗せ、翼を大きく広げ

自由に空を翔ぶ。


火のトンネルを抜け、俺は空中から大きく手をかざす。


きっと、こうだ。


俺の手の先、大量の水が出て、

地上の火を消していく。


葵、優輝、そして駿と呼ばれる者。


前方の火だけを消し、俺たちは前に進んだ。

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