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61.緑の戦士

正義……。

正義を貫いただけ。



俺は片桐 駿。

太楽国では有名な弁護士だった。

容疑者を助ける正義の味方。

正義の……味方?



「違う。俺があいつを無罪にした。

罪を犯しているかなんて興味なかった。


俺は英雄になりたかった。

どんな容疑者も白にする。

ただそれだけ。


冤罪を生ませないなんて後からとってつけたようなもの。

自分の力を、認めさせたかっただけ。



そのせいでどうなった?」



すみれといった女性の顔が忘れられない。

俺へまっすぐに刀を向けた。

許さない。

その言葉は彼女の本心。


だが、味方を庇って命を落とした。

そう、それはきっと、俺よりも味方の命が

大事だったから。

俺なんかに命を差し出す価値はない。



おそらく帝女の娘ではない。

影武者だろう。

バカな隊長は、帝の娘の命を奪ったと

喜び勇んで戻っていった。


帝の娘かどうかなんてどうでもいい。

確かなことは、俺の傲慢さのために

一人の命が消えたこと。


俺が昏哭界にくるはずがないと思っていた。

何かの間違いだと。


いや、当然だ。

駿、お前は英雄なんかじゃない。

人殺しだ。

もしかしたら一人じゃない。

止められたはず。新たな殺人を。

止められたのはおそらく俺だけ。



俺は初めて涙を流した。

生まれて初めて。


「どうすればいい?

どうすれば……償える?」


わかっている。もう遅い。

いくら涙を流しても、すみれは生き返らない。


もし、償うことができるなら、

俺は何でもする。



草むらから何か音がした。

俺は驚き振り返った。


草むらからエメラルドグリーンに光る

蛇が顔をだした。


蛇は俺の前にやってきて口を開けた。

その中に美しい緑の珠が入っていた。


「これは?……」


俺は珠を手に取った。


蛇に導かれるように俺は歩き出した。



*******************


すみれが死んだ。

葵様の身代わりになり。


おそらく本物ではないといことは

いずれバレるだろう。


だがすみれの死を無駄にするわけにはいかない。

なるべく早くクラリサを奪い返す。


この手に。

俺の手に……。



「疾風隊長……」


大地が近づいてきた。

いつかこの男と戦うことになるのだろう。

勝てるだろうか。

いや、クラリサさえあれば勝てる。



俺の手首に巻かれた蛇が

俺の心を嘲笑うかのように舌を出す。


そう緑の珠など持ってはいない。

偽物だ。

でも俺はどうしてもこの世界に来る必要があったのだ。


願いを叶えるため。

たった一つの願い。



早く、クラリサを奪ったものを見つけねば……。

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