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58.見覚えのある女

全体を見ることは戦いの基本だ。

俺は少し離れた場所から戦況を見つめていた。


「駿、鏡とはなかなかいい作戦だ。

光も狼も苦戦しているな。一気に畳み掛けるか」


元隊長は俺の側にやって来て、ニヤニヤと笑った。


「光と狼……光と狼…?火……!」


どこだ、どこにいる?何かがおかしい。


「火の使い手がいません!」


俺は笠を深く被り青い着物を着ている女を探した。

やはり女の周りにいるはずの火の戦士が見当たらない。


全体を見渡す。だがどこにも火の戦士の姿はない。


「まさか……」


確かめなければ。

俺は急ぎ馬に飛び乗った。


「駿!どこに行く?俺も楽しませてくれや」


元隊長も別の馬にのり、俺の後に続いた。



高台から一気に駆け下り、青い着物の女を目指す。

クラリサなる物が武器になる時、

唯一使い手となる帝の一族。

そのはずだ。



敵味方、ひしめき合っている。

馬の勢いにおされ、進行方向に自然と道が出来た。


四方を鏡が囲う中、顔を隠しながら

戦う女の姿を見つけた。


黄色の鎧を着た戦士が女を守っているようだ。

一目でわかる。奴は強い。


もう一人は肩に猫をのせ、紫色の鎧を着ている。

なぜか武器が貧相だ。

そして肩に傷を負っているようだ。


黄色、紫色の戦士が女の側から少し離れた瞬間を狙う。


「今だ!」


俺は、馬で女の側まで走りより、馬から飛び降りた。


女は驚き、必死で顔を隠す。

俺は女の笠に手をかけた。




**********************


鏡に気を取られていた。

リンクやリュープスを落ち着かせている間に

俺も大地もすみれから少し距離ができてしまった。


人が乗った2頭の馬が猛スピードですみれに近づいて来ていた。


気がついた時はすでに一人の男が馬から飛び降り

すみれの笠に手を伸ばそうとしていた。


まずい!俺は必死に叫んだ。


「すみれ!」


「晃さん!私は大丈夫!」


すみれは必死に抵抗している。

だが男の力のほうが強く、男はすみれの笠を取り上げた。


男は葵の顔を知るはずがない。

太楽国でも隠されていた存在。

そう、だからすみれの命が危ない。

すみれが帝の一族だと思い、迷わず殺されるかもしれないのだ。


俺はすみれの元へ走った。


**********************


女の笠を取った。

女と目が合った。


なぜだ。俺はこの女を知っている。

見覚えがある。


死んだ後、小さな和室に通された。

死んだ後の行き先が映るという三面鏡の前に立った。


幼い頃から死ぬまで、いわゆる走馬灯が映し出された。

そこに一人、見知らぬ女の顔があった。

誰だろう?頬に太陽の様な妙な傷のある女。


今、その顔が目の前に合った。



「その傷は?お前はいったい……」


俺は女に詰め寄った。


「俺が生きている間の被害者にお前はいない。

お前は誰だ?なぜ死んだ?いつ死んだ?


まさかアイツはまた人を殺めたのか?

俺が、俺がアイツを無実にしたせいで、

また犠牲者が増えたのか?


教えてくれ!いつ、誰に殺された?」



「お前は片桐駿か!

殺人鬼を再び世に放った弁護士だな。


私は……すみれ。お前が無実にした男に襲われた。

お前を許さない!覚悟!」


すみれという女の剣が俺に向かって来た。

俺は一瞬、動けなかった。



俺は一体あの時、何に勝ったのだろう。

フラッシュがたかれる中、

俺は一体……。

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