52.クラリサの使い手
連合軍に奇襲をかける。
作戦自体は間違っていなかった。
失敗したが、わかった事もある。
特殊な能力や武器を持つ者が複数いる。
例えば火。狼や、猫もいた。
数で勝っても、貧相な武器では結局蹴散らされて終わりだ。
「駿。悪い顔をしているな」
顔に傷のある大男。この隊の隊長だ。
「申し訳ありません。作戦は失敗でしたね」
「次の策はあるのだろう?さっきの悪い顔はそのためでは?」
もっと敵の情報が欲しい。
勝つためには敵を知ること。
そして、敵の心情など気にしないこと。
ふと最期に見た模様が頭をよぎった。
太陽の様な変なマーク。
俺が救った男は何人の命を奪ったのだろう。
そしてあの男に命を奪われた者たちは敵だったのか?
俺は一体に誰に勝ったんだろう。
救うべきは……。いや考えてはいけない。
勝つことだけを考えろ。
「根本的なことをお聞きしますが、
ヴェルグラスが復活すれば
もう我らの勝利ということでしょうか?」
「いや、ヴェルグラスを倒す唯一の方法がある。
二つのクラリサからなる武器だ」
クラリサは二つあるのか。
奪われたクラリサは一つ。
「では、もう一つのクラリサは連合軍が持ってきているのですね?
それを奪うという手も?」
「連合軍が持っているクラリサは、珠が一つ
失われている。
それを奪ったところで、ヴェルグラスは復活しない」
では武器も出来ないのでは?
俺の考えていることに気づいたかのよう大男がいう。
「おそらく武器は出来ないだろう。
だがもし、不完全でも武器が出来れば
まずいことになる。
武器を使うために軍に加わっている
帝の一族がわかればいいのだが」
そうだ。その者さえ失えば連合軍は最後の手段を失う。
武器が出来たとて、使い手がいないのだから。
死に物狂いでクラリサを奪い返しに来るだろう。
いくら奪い返されても、この世界を出るまでに
また奪いかえせばいいのだ。
「帝の一族が誰か、全体を見ればわかるかもしれません。
高みの見物といきませんか?」
ほう、と呟き大男は部下に軍を
高台に移動するよう指示した。
総攻撃をかけた時、必ずわかる。
いくら隠しても、一番守りたい場所が。
そこにいる。帝の一族が。
敵。
勝たなければならない敵。
その帝の一族は、俺に一体何をしたのだろう。
本当に勝たなければならない敵なのだろうか……。
考えてはいけない。
勝つことだけを考えろ。
ここは昏哭界なのだから。




