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42.同盟軍

天澄軍と太楽軍は今、ひとつになった。


導きの間から川を渡り、天澄界へ。

そこから昏哭界を目指す。

クラリサを奪還し、闇の獅子・ヴェルグラスの復活を

阻止する。



本来であれば太楽国での命が尽きなければ

天澄界へ渡ることは出来ない。

だが、天澄界の王、太楽国の帝女の命により

同盟軍として派遣されたのだ。



「拓海さん、大丈夫ですか?」

隣にいた葵が声をかけた。


俺は現実を受け止めることに必死だった。


「ああ。本当に存在していたのだな……。

天澄界は……」


天澄軍と太楽軍は向かいあったいた。


天澄軍から疾風と呼ばれる隊長、

太楽軍からは葵が前に出た。

それぞれ、礼を交わす。


疾風の後には数十人の兵が控えていた。

どう見ても自分達と変わらない格好をしている。


「本当に死んでいるのか?」

俺はつぶやいた。


聞こえていたのか疾風という隊長が近づく。


「正式に言えば、天澄界で生きている。

魂はあるし、記憶もある。血も出る。


ただ、次に太楽国で生きるには、

長い間待たなければならない。

全ての記憶が消え去るほどに……」



俺は、失礼な事をいった事を悔やみ

隊長に頭を下げた。


そしてそっと軍を見渡す。

赤い蠍を肩に乗せた女性に目がとまった。

どこかで見た様な……。


「…あっ!」

俺は思い出した。

プラネタリウムで見た新聞に載っていた…。


「お前は炭谷病院の娘?確か家を放火したとか!

なぜここにいるんだ?

悪い行いをしたのであれば昏哭界じゃ?」


思わず俺は叫んだ。


葵が俺を睨む。


あ…またつい失礼な事を言ってしまった。

慌てて下を向く。



失礼か?本当のことだ。

そう、炭谷優輝という名だった。


「私は……」


優輝は何か言おうとしたが、言いたくないようだ。

肩の上の蠍が 威嚇するかのようにハサミを広げる。


変な空気になってしまった。

どうしようかと悩んでいると、男が話し出した。


「俺だってそっちの世界では殺人犯って言われてたぜ」



男の隣には黄金色の狼が唸り声をあげ、牙を向く。


「いいんだ。リュープス」


男は狼を撫ぜた。


「でも俺は誰も殺してなんかいない。

と言っても誰も信じてくれなかったがな」



男は遠くを見つめていた。


放火犯に殺人犯?

蠍に狼?

昏哭軍の間違いじゃないよな?……

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