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36.大地の願い

疾風隊長は俺を見て驚いていた。



なぜ俺が王の前にいるのか?

黄色の珠をもち、ましてや黄金の狼まで連れて。


俺が一番信じられない。


隣には優輝という女性と、

晃という男性が同じように珠を持ち

王の話を聞いている。



天澄界の王の手には、いつの間にか

クラリサが握られていた。


四角の底面にそれぞれ、赤・黄・緑・紫の珠があり

美しい光を放つ。



「珠は五つであった。しかし天澄界のクラリサは

かつてある者に奪われ、青い珠が失われた」


王は部屋の後方で控える疾風隊長を見ていた。

何か事情を知っているのかもしれない。



「ヴェルグラスを倒すことが出来る武器は

クラリサが完全ではないため、

生まれるかどうかわからないと聞きました」


伝説、クラリサから生まれる武器、

王の話は奇想天外なものばかりだったが、

これから始まる旅の序章としては

面白いものだった。


俺は王に尋ねた。


「もし、不完全とはいえ武器が生まれたとして、

その武器は使える者は、天澄界の王、

または太楽国の帝女の一族だと聞いたことがあります。

我が軍にそのような者はいるのですか?」



「我と帝女はそれぞれの国を守るために

国に残り昏哭界からの侵入を阻止する。


クラリサ奪還は其方たちを含めた

精鋭軍を用意するつもりだ。


だが、太楽国から帝女の血筋の方が

同行すると聞いている。


彼女を必ず守り、クラリサを奪い返してほしい」


「もう一つだけお聞きしても?」


王は頷く。


「珠は4つ。我々は三人。もう一人は?」


「旅の途中で現れるだろう。必ず」


王は遠くを見つめている。




太楽国での記憶は少しばかりを除いて

思い出したくないものばかりだ。

生きている意味などなかった。


もう二度と、戻りたくない。


だが、世界が闇と化した場合、

永遠の闇、憎しみ嫉み、苦しみを味わうらしい。


どちらも地獄だとしたら、

永遠ほど苦しいものはない。


二度と生まれ変わらないほうを選ぶ。



クラリサを持つ者が誰なのか、俺は知らない。

だが、そいつが闇の泉を見つけるまでに

必ず見つけ出し、クラリサを奪い返す。


そして二度と、生まれ変わらないという願いを叶える。


願い…もしもう一つ願いが叶うのであれば、

弟と会いたい……。


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