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31.赤の戦士

太楽国のクラリサが奪われた。


王の言葉に偽りはないようだ。


クラりサを奪い返さなければ……

俺が必ずクラリサを取り戻さなければ……


俺は我に返った。

「クラリサは私が取り戻します」


疾風はやて。気持ちはありがたい。

だが、いずれ戦士が選ばれる。


お前は剣士隊長として残れ」



俺は驚き王を見た。

「何故ですか?」


俺は思わず立ち上がった。

「私を信用されていないのですか?」


「信用しているからだ。

もし、この戦いに敗れることになれば

一気に昏哭軍が押し寄せる。

お前はこの国を守ってほしい」



王の言うことは正しい。

しかし、俺はどうしても行かなくてはならない。


「戦士とは、どうやって選ばれるのですか?」

私は王に食い下がった。


「クラリサが選ぶのだ。いずれわかる」


王の目は諦めろと告げている。


王は遠くを見つめていた。





天澄界、王の館のはるか遠く。


山間の村で、私は田畑を耕し

日々を過ごしていた。

質素な屋敷に数名の仲間。


燃え盛る火の中で私の命が終わる時、

次の世界でこれほど穏やかは時間を過ごせるとは

思っていなかった。


私はこの世界に来て間もない。


太楽国では看護師をしていた。

代々、一族が経営する病院で。



男女平等。今の時代は当たり前。

太楽国も国を治めているのは女性だ。

しかし、私の家族、特に父の考えは違った。

跡取りは男。

私は産まれた時、親にがっかりされたのだ。

大病院の娘に産まれたと言えば、

羨ましいと言われることが多い。



そんなことは幻想だ。

もし私が男に産まれていたとしても

医者になることでしか自分の価値を見出せない

そんな人生だっただろう。

弟のように……



「優輝さん!そろそろお昼にしましょう。

しかし、優輝さんは、いつもかっこいいわね。

あ、女性にかっこいいというのは、失礼かしら」


仲間の女性が優しい笑顔を見せた。


「いえ。嬉しいですよ」



男っぽい仕草、男っぽい話し方。

この世界に来てもなかなかなおらない。


私は汗を拭い、屋敷に戻ろうとした。


その時、背後にカサカサという音が聞こえ

振り返った。



私は目を疑った。

道の端。草むらの中から

何かが姿を現した。

燃えるような赤い色をしたさそり


「蠍?」


生きていた頃には図鑑でしか見たことがない。

恐ろしい動物。

逃げたほうがいいのだろうが、動けない。

なぜか私に会いに来たかのように感じたからだ。



赤い蠍は赤い珠を挟んでいた。

赤い珠は私の足元にコロコロと転がってきた。

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