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27.クラリサの秘密②

悪の獅子、ヴェルグラスの復活を食い止める。

絶大なパワーを吸収し、目覚めた獅子を?

そんな事ができるのか?


俺は鞠子様をじっと見つめた。


「ヴェルグラスを倒すことが出来るのも

クラリサのみ。


太楽国、天澄界の二つのクラリサから

生まれる武器のみが獅子を封じます。


ただ、クラリサを渡した者の願いも同時に

封じなければなりません」



「願い?」



「例えば、大金持ちになることを願った者がいたとします。

その場合は産物であるお金や金塊。

しかし、亡くなった子供を生き返らせてくれと

願ったとしたら……」



「願いによって生き返った子供も、

その武器で倒さなければならないと?」



「そうです。

悪が生み出した者は、いずれ悪に染まります。

どんなに純真な子供でも、

どんなにか細い老人でも

決して悪に見えなくても。



ヴェルグラスが乗り移った王は

我々も迷いなく倒す事ができるでしょう。


でも叶えられた願いにより生まれた

何も知らない子供を迷わず殺せますか?



惑うこと、それがヴェルグラスの狙い


もし躊躇したら、その間にヴェルグラスは

子供にのり移るでしょう。

体を変えるだけのこと。

だからきっと、武器を持つ者が躊躇する存在。

それを願う者の願いを叶える事でしょう。

でも惑わされてはいけない。

その者、生き返らされた者も悪の王になることなど

望んではいない。


悪に完全に染まる前に、共に倒す。

その覚悟が必要です」



覚悟……

武器を持つものが躊躇する者?


クラリサから生まれる武器とは

一体……

いや、ちょっと待て。


「待ってください。

クラリサを奪われたから、獅子が

復活するのですよね?

ということは、クラリサは1つしか存在しない。

どうやって武器が生まれるのですか?」




「そのために、クラリサは2つ造られました。

クラリサは互いに呼び合います。

片方のクラリサがヴェルグラスにより消滅した時、

完全なクラリサがその近くにあれば、

もう一つを再生させることが出来るのです」



再生…… 近くにあることが条件なのであれば

天澄界にあるもう一つのクラリサが

この戦いの鍵。



葵がはっとした顔になった。

「お母様、でも天澄界のクラリサは……」


鞠子様の顔が曇った。

「そう、28年前。天澄界のクラリサは

ある者に奪われ、青の珠が失われてしまいました。

そのため、天澄界の境界線は不安定になり

度々、昏哭界の侵入を受けています。


青の珠がないということは

完全ではないということです。

呼び合うことは難しい。

武器が生まれるかどうか」



武器が生まれなければ、未来はない。


「奪われたクラリサはどうなるのですか?

まだ世界は闇になっていない。

ヴェルグラスはまだ復活していないのですよね?」



「獅子の泉は闇の奥深くにあると言います。

ヴェルグラスに渡す者は、太楽国か天澄界で

心に闇を抱えた者です。

ヴェルグラスの声を聞きながら泉を探しあてるまで

数日はかかると言われています。

逆を返せば、数日、長くて1週間ほどしか私たちに

残された時間はありません」



数日。本当に世界が闇になるなんてことが

あるのだろうか。


クラリサを取り戻してくれ……

親父の遺言のような一言が

俺をここから動けなくしていた。

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