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25.帝女の娘

そこはごく質素は部屋に見えた。

部屋の真ん中に三面鏡が置かれている以外に

何もない部屋。


窓の外には庭が見える。

川の音は聞こえるが、見える範囲に川はない。



ここは、水澤プラネタリウムから

さほど離れた場所ではなかったが

通ったことも、聞いたことさえない場所だ。


なんの変哲もない一軒の古びた家。



「ついて来てほしい」と言われるままに

ここまで来たが、親父の死と

一体どんな関係があるのだろう。

まだ親父が死んだとは信じられない。


昼寝しかしていない親父が

殺される理由が全くわからない。

あの黒い影はいったい何だ?

夢なら早く覚めてくれ。



襖が開き、先程の女性が入ってきた。

写真の女性と同じ巫女の衣装を着ている。


やはりここはあの写真の女性がいた場所に

違いない。

真琴、導きの間……



その後ろにもう一人。

煌びやかではないが、質が良いのが一目でわかる

着物のような衣装を来た女性。

体調が悪いのか、従者のような者に

手を取られながゆっくりと入ってくる。

テレビで見るよりも遥かに

小さく、だが簡単には近づけないオーラを放つ。


「て、帝女様?」


なぜここに?こんな所に?


帝女様は、優しく微笑むが

すぐに顔を曇らせた。


「この度はご愁傷様でした。

お父様におかれましては、娘のために

本当に申し訳ありません」


帝女様は深々と頭を下げた。


「や、やめて下さい。あの女性のせいであって

帝女様には関係ありません」


俺は巫女の衣装を来た女性を指差した。

そして……


「え?娘?」


「葵と申します」


葵と名乗る女性は、20〜25才。

鞠子様の隣に並ぶと

確かに親子と言われても違和感のない

容姿をしていた。



「娘は身の危険があり、名前も

顔を隠しておりました。

今から私たちの話すことは

絶対に口外しないと誓えますか?」


鞠子様はまっすぐに俺を見つめた。

ここでNOと言える奴はこの国にいるのだろうか?


俺はこの状況がすぐに飲み込めず、

見えることのない川の流れを聞いていた。


そして、ゆっくりと頷いた。

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