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23.奪われたクラリサ

早くクラリサを元の場所に戻さなければ…


グレームーンの光で浮かび上がった祠は

もうすでに見ることは出来ない。



しかし言い伝えでは、あるべき所に

クラリサを運べば、クラリサが自ら

祠を浮かび上がらせると聞く。

おおよその場所は覚えている。

とにかく早く、そこに向かわなければ。

伯母が簡単に諦めるとは思えない。


私は水澤プラネタリウムから、

赤い鳥居がある川辺へ向かうため

山道へ向かおうとしていた。


「ちょっと、お嬢さん」


後ろから声をかけられ、驚き振り返った。


水澤プラネタリウムの受付にいた

男性が私の後を追って来たようだ。

慌ててきたのか、少し息が上がっている。


どうしよう。話し込んでいる暇はない。


「クラリサを元の場所に戻すのですね?」



私は驚いて男性を見た。

なぜクラリサのことを?この人は誰?


「境界線が不安定であるため、闇の力が増しています。

微力ながら護衛させてください。

貴女は帝の一族ですね?

信じられないでしょうが、私も……」



男性は洋服で隠していたネックレスを私に見せた。

円の中に赤い鳥居のマーク。

帝の一族の証。


正直一人では心細い。

にわか信じられないがここはお願いするしか……

いや、本当に味方なの?



「危ない!」


男性の優しい顔つきが変わった。

勇ましい、戦いの顔つきだ。


私のすぐ後にラーサ(昏哭界からの侵入者・黒い影)が

数体迫っていた。


「お嬢さん、急いで!早くクラリサを。

ここは私が」



今は数体だ。だが先にはさらに数体の影が見える。

幸い、他に人はいない。

国民を危険に晒すわけにはいかない。


だが男性は武道の心得があるのか、

美しくラーサを倒していく。


「早く!」



私は、申し訳ない気持ちを振り払い

祠の場所へ向かおうとした。

クラリサを戻せば基本、ラーサも入ることは出来ない。



その時だった。

見たことのないラーサ、

いや影ではない。

完全な人型、黒い人だ。

私を目掛けて一直線に向かってきた!


私も多少戦いには自信があった。

帝女の娘、命を狙うものも多い。

自分の身は自分で守る、そのように育てられた。


護身用の武器。

太ももにつけた小さな刀を取り出す。

背の低い私はスピード勝負だ。

相手の足元を狙い、素早く切り込んだ。



強い……

手合わせしてすぐにわかる。

ラーサとは比べものにならない。

ラーサは基本、まとわりつき

動きを封じこめてくるだけの影。

弱い怨念だ。

だが、稀に入ってくる強い怨念を持つ人型。

それは簡単に勝てるものではない。


その中でもこれは、異様だ。


後に周り、高く飛び上がり

切り掛かる。

次の攻撃が読まれていた。

人型は私を軽く吹き飛ばした。

私は地面に叩きつけられた。


「っつ……」


私は唇に熱いものを感じ、拭った。

血だ。

まずい。強い。

クラリサを奪われる。


黒い人型がクラリサを手に取った。


取り返さなければ。

でも、叩きつけられた体は思いの外

ダメージを受けたのか、立ち上がることさえ出来ない。



人型が私にとどめを刺そうと大きく動いた。

思わず目を閉じる。


うっ!


という声が聞こえ、

目を開くと、男性が私を庇い、

攻撃を受けていた。


男性は一度、攻撃をかわしたが、

敵は強く、劣勢である。



「クラリサを返せ」



男性は低く、しかし腹の底からの怒りが

感じられる声を発した。



「残念だな。ヴェルグラス様がお待ちだ」


黒い人型が大きく動いた。


「いやーーーーー」


私は叫んだ。


男性は道路に倒れた。

背中から流れ出る赤い血が無情にも

広がっていく。


「誰かーーーー!誰か助けてーーーー!!

この人を助けてーーー」



お願い。

死なないで。

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