19.わし座
俺はたまにプラネタリウムで星を観る。
もちろん、お客様にちゃんと見えているか
たまには確かめなければならないからであり、
決して昼寝をするためではない。
そう、決して昼寝をするためでは……
隣の席がバン!と閉められる音で、
はっと目が覚めた。
おっと、口元から……。
良かった、暗くて。
今日も、鷲座の説明の後から
爆睡してしまった。
鷲座と琴座の神話は人気がある。
七夕の織姫と彦星だ。
川を挟んで会えない世界で生きるなんて、
耐えられない。
俺なら絶対に川を渡る。
どんなに危険を冒しても、絶対に
会いにいく。
ま、そんな相手もいないのだが。
いつもその辺りで俺の睡魔が
やってくる。
爆睡できるほど心地がいいということだ。
俺は昔から鷲座が好きだ。
神の武器だとか化身だとか、
色々な説があるが、
なんといってもかっこいい。
この近くにもワシがいるようだ。
いつも同じワシが飛んでいるのを見かける。
翼に月のような模様がある。
まるで親父を知っているかのように
親父のそばまで来たことがある。
だが、親父には決してなついてはくれなかった。
プラネタリウムが終了し、
明るくなった。
最後のお客様が出られるのを確認し、
受付のほうへと向かう。
受付にはどこかで見たことがあるような
女性が待っていた。
手には パン de パラダイス、略して
パンパラの袋を持っていた。
円の中に赤い食パンのマーク。
そう、俺が食べ損ねたあのランチ。
きっとこれを取りに来たのだろう。
俺はポケットの袋を確かめた。




