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14.葵

まずい。とてもまずい状態だ。


私は今、暗い倉庫のようなところで

椅子に縛られている。

相手が2人だったらなんとかなった。

もーーー!ちょくはどこに行ったのよ!

こんな大事な時に…



私の名前は葵。

この国の命運を握るクラリサを

元の場所に戻すはずだった。


この黒ずくめの男達は、伯母の手下に違いない。

絶対にクラリサを伯母の手に渡してはならない。

でも、今、1人の男がクラリサが入った袋を

開けようとしている。


どうしよう。

もうすぐ縛られたロープは

解くことができると思う。

間に合うだろうか。


男が袋からクラリサを取り出した。

クラリサを、

クラリサを、

……クラリサは?


「あ〜なんだこれは〜?」


男はクラリサとは程遠いドーナツを

持っている。


え?手品?すごい〜誰が?神なの?



って喜んでいる場合じゃない。

袋に書かれたマークが見えた。

円の中に赤い鳥居…のはずが

何?あの食パンみたいなマークは。


「どこにあるんだよ!早く言わないと命の保証は

ねーぞ!」



「だから本当に知らないっていってるでしょ!」


嘘じゃない。一旦落ち着け、私。


あ、あの時だ。

公園で男性とぶつかった時。

落ちた袋を拾った時だ。

そうじゃなければ手品師の

神でも現れたとしか思えない。



とりあえず、この場をなんとかしなければ。



「探せ!洋服の中にでも隠してんだろ」



ちょっと待ってよ。

本当にないんだってば!


「やめなさいよ!変態!!」


男の手が私の服に近づく。


あ〜最悪だ。もう終わりだ。

裸にされたところでクラリサは見つからないが

私は何事もなかったように

生きていけるだろうか。



目を閉じた瞬間、人が倒れる音がして

目を開いた。


直が男達を蹴散らし、大の男達が

次々に倒されていく。

全ての男達を倒し、彼は

私のところに飛んできた。


「葵様!ご無事でしたか?」


直は急いで私に巻かれたロープを解く。


「もーどこに行ってたのよ!!チョク!

いつも私のうしろにいなさいって言ってるでしょ」


「申し訳ありません!!」


長身の直が90度以上角度があるのではと

思うくらいに頭を下げる。

それをされると怒るにも怒れない。


「ところで葵様、クラリサは?」


「それが……」

私は落とされた袋を指さした。


直は袋とドーナツを取り上げた。


「ふざけないで下さい。

冗談につきあっている暇はないのです」


「勝手に元の場所に戻ってくれたのかなーなんて」


直が私の目をじっと見る。


「葵様、私に嘘はつかないと約束してください」


「…どうも、取り違えてしまったみたいで……」


直の顔が曇った。


「もし昏哭界に渡ってしまえば、

平和は一気に崩れます。早く見つけなければ」



わかっている。

持っている相手の見当はついている。

おそらくすぐに見つかるはず。


「葵様、ちなみに私の名前はただしです。

チョクではありませんので」


知っている。

一文字いちもんじ ただし

私のボディーガードだ。


「でもチョクって感じよ。まっすぐ、一直線な感じ」


直は少し嬉しそうな顔をしたが、

すぐに現状にきづき顔を引き締めた。


「探しに行くわよ。伯母より先に見つけなければ」

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