表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/86

13.炭谷病院

時は少し遡る……

グレームーンの少し前、いやもう少し前か。

まだ月が闇の力を帯びる前。




「お名前をフルネームでお願いします」


筑紫つくし あきらです」


「筑紫さんは、28歳、

舞台関係のお仕事をされていると

言われていましたね。

お忙しいのはわかりますが、

不眠はストレスが一番悪い。

あまり深刻に考えないことですよ」



なぜ、こんな意味のない話を聞くために

診察を受けなければならないのだろう。

ストレスがない人間なんていない。

ストレスなんて心の弱さが原因だ。

なんて、そんな考え方だからストレスが

溜まるのですと前回は言われたがな。



どちらにしても、眠れないと言っているのだから、

薬さえくれればいい。

といいながら、インターネットでも

Aiでもなく、病院に来るのは、

俺自身が誰かに聞いて欲しいと思っているのかもしれない。

俺の今の心の弱さを。



俺は舞台の裏方スタッフだ。

自分で言うのもなんだが、

見かけは悪くなく、舞台関係者だと言えば

演者のほうかと聞かれることが多い。


自惚れて目指したこともある。

だが、やはり脚光を浴びることができるのは

一握りだ。

少しくらい恵まれた容姿では、勝てる世界ではなかった。

だが、俺は舞台を創る才能があった。

今では少しずつ名前も売れ、

有名な俳優たちとの仕事も増えつつある。


我儘な俳優がストレスの原因なのか?と

思うかもしれないが、

仕事と割り切れば、なんてことはない。

ストレスの原因、それはそう

仕事と割り切れないもの……




炭谷病院に通い始めてどれくらいになるだろう。

ここは代々、炭谷一族が院長を務める大病院だ。


しかし次の世代はまだ決まっていないと聞いた。

医者にならなければならない一族。

それはそれで大変なストレスだろう。



俺は会計をすますため、受付へと向かった。


椅子に座り、自分の番号が表示されるのを待つ。


隣で2人の奥様方が、待ち時間を

有意義に使うため情報交換を行っている。


意外とこんな会話からも、舞台のヒントが

得られることもある。


「この病院に通り魔にあった女の子が

入院しているらしいわよ」

「可哀想に。でも例の通り魔は捕まったわよね」


通り魔…

そういえば、若い女性を狙う通り魔が

捕まったというニュースを聞いた。

だが、無罪だったとか、どうだったか、

記憶が曖昧だ。


俺の番号が表示された。

薬を飲めば、眠れるだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ