表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/39

第一章:14 魔法触媒 量産計画



「ありました天井裏!うわ…こりゃひでぇな」


「よくやった!二度と奴らがが入りこまぬよう念入りにやってくれ!」



 「…これは気合いがいるな……ちょっと休憩!」


 汗を掻きながら天井裏から降りて来た村の若者にアルタスは水を差し出す。


 「ああ…ども。それにしてもこんなになってるならもっと早く言ってくださいよ!アル様の為なら俺たち村のモンは何をほっぽっても駆けつけるのに!」


 水を飲みながら村の若者のまとめ役ハビエルか口を尖らせてそう言うと、それに合わせて周りの壁の塗り直しや床の補修をしている者たちが「そうだそうだ!」と一斉に同調する。


 「はは…他のことに気を取られてすっかりわすれてたんだ…」


 アルタスは苦笑いしながら他の若者達にも水をくばり昼休憩を促すーー今日は村の若者を中心にアルタスは館の改修をしている。


 事の発端は先日この館を訪れた徴税人の態度だった。

 明らかにこの館に何か言いたげに見渡していた姿にアルタスはネズミ事件からずっと先延ばしにしていた館の改修を思い出す。


 しかし改修しようにも村には新規で家が立つことはほとんどないため専業の大工はいない。それならばせめてネズミの通り道だけでも塞ごうと材料を分けてもらいに村へ相談に行った時のことだ。


 「水臭いですよ!俺たちに任せてください!」


 とすっかりアルタス信奉者の村人達が立ち上がり、ハビエルを中心とする若者達がアルタスの館の改修に名乗り出てくれたという訳だ。




「ーーーそれにしても盗賊を一人でやっつけちまう我らが英雄アル様が、まさかネズミが怖いなんて可愛らしい一面があるなんてね…俺は逆に安心しましたよ……」


 「あはは…これは君たちの間で内緒にしておいてくれ…」


 ーーーあ…これ謀反を起こされたら僕ネズミ出されて終わるな。


 アルタスは密かに自分の弱点を公にしてしまったことに内心冷や汗の中、謀反など微塵も考えていないであろう若者たちはエディの作った食事に舌鼓を打ち「アル様最高!」と盛り上がっている。


 ーーそんな一幕もあり楽しく昼食を終え、また皆が作業に戻る中、アルタスはこっそりとある計画を実行する。

 

 魔法と木の板を使い器用に壁を塗っている男の目を盗み、補修用の石膏を拝借すると、密かに自室から持ってきた歯車を押し当て型を取る。

 

 魔法を当てると歯車が回ってしまうので自然乾燥を待ち、固まった石膏から歯車を取り出す作業に苦戦し、ナイフなどを使いなんとか取り出すと、いかにも五歳児が作った不恰好な歯車の型が出来上がった。


 「ふん!試作品だからこれくらいでいいんだ。」


 と自分に言い聞せつつ、型の歯の部分と歯車をなんとなく合わせ

 

「これでようやく作れる…僕の魔法触媒……」


 この魔法触媒を手に入れてからずっと考えていた用途の仮説…

 今まで数はあるが、大きさや歯の間隔の違いで噛み合わなかった歯車を同じ型を作って組み合わせてみたいと思っていたアルタスはようやく計画のスタートラインに立てた気がした。


 「今度、冬支度で街に行った時に鍛冶屋と魔法陣……じゃない魔法刻印の職人の所へ行けば…」


 アルタスは膨らむ希望に胸踊らされニヤニヤ型を眺めていた。



 「…アル様?」


 「うひゃん!」

 

 不意に名前を呼ばれ、情けない声を出し、慌てて歯車と型を隠す。

 

 「今日の作業はこの辺で!明日また来ますんで!」


振り返るとハビエルを先頭に村人達が準備を終え帰路に着こうとしている。


 「あ、ああ!みんなお疲れ!……あっそうだみんなちょっと今いいかな?」


「?」



 「実は今日見てもらった通り、我が家は今掃除も回らないほど人手が足りないんだ。給金はちゃんと出すから週に何回かここで働きたい者はいない?」



 アルタスはこの間の誘拐事件の後から考えていた使用人の追加募集について尋ねると村人達は顔を見合わせる。


 「今は収穫が終わって暇ですけど。これからも定期的にってなると少し厳しいかもしれないですね…」


 皆働き盛りの村の主力達だ。それぞれの仕事があるため難色を示す。


 「それもそうか…なんなら隠居したご老人でも構わない!……出来れば手先が器用でちょっとした工作が出来るならなおいいんだけど…」


 本人の名誉のため濁したが、本来サボらなければ掃除はガリア一人でも回る。アルタスの本命はこちらだ。


 「年寄り達もな……………あ……バタピー……」


 「……バタピーか…」

 「あいつはなぁ…」


 一人の男がバタピーと言う名前を出すと、村人たちの表情が曇り、ざわつき始める。


 「えと、そのバタピー?っていうのは…?」


 「えっええ…村の同年代の奴で、もともと街へ鍛冶屋の見習いに行っていたんですけど一年もせず戻ってきて…今は革の加工や布を織ったりしているんですが…その……変わった奴で…」


 ーーー元鍛冶屋見習い!ちょうどいい人材じゃないか!それに変わり者ということはこだわりの強い芸術家肌ってことなんじゃないか?中々面白そうな人物じゃないか。



 「そのバタピーとやらに興味がわいたよ!是非会ってみたい!」


 「え、ええ?…まぁ会ってから決めればいいですから。それじゃあ明日、俺が連れてきますよ……」




 こうして明日アルタスは村の変わり者と呼ばれるバタピーなる謎の人物に会うこととなった。

 




・忙しい方向け今回のポイント


・アルタスは家の改修をはじめた。

・アルタスは歯車を量産計画をスタートさせた。

・使用人を募集したら変人を紹介された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ