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栄光のユトランド~デンマーク王国はシュレースヴィヒ=ホルシュタインを守り抜けるか~  作者: 玉井タマタマルアー


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無煙火薬

無煙火薬最高!

 無煙火薬。前回サラッと流したが、今回作製した無煙火薬、B火薬というのだが、艦砲等に使われる大型砲用のトリプルベース火薬と小銃用のシングルベース火薬を制作したのだ。



 本当は、1889年に開発されたコルダイトでも良かったのだが、コルダイトの生産にはアセトンが必要なのだが今現在木材を乾留することででしか得ることができない。それに価格もかなり高くなるだろう。なので生産しやすく価格を抑えることができるB火薬を生産することにしたのだ。



 この様なハンデを背負っても無煙火薬に拘るのは、黒色火薬と比べて煙や残留物の量が圧倒的に少なくなり、弾丸を小形にし高初速で発射することができるようになるからだ。無煙火薬と金属薬莢の組み合わせは、機関銃の使用、大砲を威力そのままに小口径、長砲身にすることによって速射砲の使用ができる。



 材料の確保も用意である。製法としては、ニトロセルロースにエーテルとエタノールを加えて柔らかくして一緒にこねる。捏ねた物を薄いシートに丸めて、裁断するか、型によって押し出して形成することができる。これによって、火薬の粒の大きさを自由にコントロールすることができるあ。これによって大砲の大きさや銃等に合わせた効率的な火薬を作ることができる。



 無論高初速になったことで、今までの鉛がむき出しの状態では大量の鉛カスが銃身にこびり付いてしまう。そこで、鉛の銃弾をジャケットと呼ばれる銅で覆うのだ。これによって弾丸の貫通力が増したり、給弾しやすくなるのだ。



 「これが、ついに完成した弾薬か。」



 オーフスより送られてきた試作弾薬を眺める。寸法としては、7.62×51mmNATO弾と全く一緒である。弾の先頭は尖っており、反対に底が絞られているボートテール形状となっている。これは弾道を良くするのに一役買うこととなる。



 「どうだ、これを打ち出す銃の開発は。」



 「小銃の方は完成まであと一歩の所にあります。近々完成品を献上できる予定です。しかし、軽機関銃の方に関しては、ライフリングの切り方・効率的な生産方法など幾つかの課題にぶつかっております。重機関銃においては、金属製弾帯の生産に手間取っているのが現実です。」



 動員できる人員が少ないデンマークにとっては、無煙火薬と金属薬莢の組み合わせによる機関銃はとても魅力なのだ。加えて、速射砲も大規模なプロイセン・オーストリア陸軍を相手にする時にも大いに役立つだろう。高性能な銃火器こそがデンマークを勝利に導く唯一の道なのだ。



 「機関銃は、次の戦争において欠かせない存在。速やかに問題を解決して欲しい。」



 「承知いたしました。」



 話は変わるが最近社交界デビューを果した。親父と一緒にデンマーク国内外の貴族達と社交界において交流することとなった。公式な場なのでとても堅苦しいマナーが沢山あるのだ。



 それと、早速親父による婚約者探しも始まったが、プロイセンとの戦争以来ドイツ諸侯に不信感を抱いた親父は、国内の貴族との婚約を模索しているようだ。誰と結婚するにしても、互いに尊重し合えるパートナーにして欲しいものだ。

本当の所は、作者が適当な人を探せなかっただけ。

この作品はフィクションです。

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