造船会社
技術が足りないねー。
1853年
バウムガルテン&バーマイスター社との資材・技術の相互援助協定を結ぶ事になった。バウムガルテン&バーマイスター社はコペンハーゲンに本社を置く、造船会社だ。今現在は、蒸気機関を製造しているが、1851年に「イングリッシュマンズ・プレイス」のジェイコブ・ホルム造船所を借り受け、造船業にも進出しようとしている。そこでオーフスの造船ドッグの貸与と新型蒸気機関の技術提供を行い、見返りにこちらが注文する艦艇の優先製造をしてもらうこととなった。
早速平炉による高品質な鋼を使った大型の鉄道連絡船を発注する。コペンハーゲンのあるシェラン島とユラン半島を結ぶ鉄路をより効率化する為だ。オーフスに人員等を運び込むためにデンマーク各地に鉄道の延伸を行っているが、これをコペンハーゲンとも結びより多くの労働者を連れてくるためだ。
さて、今現在の艦艇の製造事情については、1843年に完成した蒸気船グレート・ブリテン号 が大きな目安になるだろう。グレート・ブリテン号は排水量3675トン、全長98メートル、幅15.4メートルで、当時世界最大の鉄製の客船であった。これらを初めとしてイギリスでは多くの鉄製の船が大量に建造されている。
軍艦においても、1年後の1854年に世界で最初の装甲艦がフランスで建造される予定だ。これはクリミア戦争にフランスが参戦するに当たって、主に陸上砲台との交戦を想定して設計したものだ。構造としては、110mmの鉄板と440mmのオーク材で強固に装甲されていた。それに対して、機関は150馬力の蒸気機関と帆走による最高速力はわずか数ノットしかない浮き砲台であった。
無論この時代の技術の日進月歩は凄まじく、1859年にフランス海軍が記録上世界初の航洋装甲艦であるラ・グロワールを進水させる。ラ・グロワールは排水量5,635トン、163mm後装砲36門、舷側装甲120mmを持ち、速力13ノットを発揮する軍艦であり、軍艦史上初の防御装甲を持ちながら、長距離航行可能な軍艦であった。
だが我々は、まだまだ数百馬力の蒸気機関を積んだだけの戦列艦鈍重な装甲艦が大手を振っている様な時代に装甲巡洋艦を投入し列強各国海軍に大きな激震を与える予定だ。目標としては、日本海軍の装甲巡洋艦吾妻である。
巨大な艦艇を作る為にも、B&B社には大量の発注もかけて行くつもりだ。
さて、フレゼリック製鉄は設立より僅か2年で1千人近い従業員を抱える企業にまで大きくなった。本業は、製鉄でありながら多くの研究も行っている。先程のB&B社との量産の為の共同研究する予定の三段膨張式蒸気機関や液気式駐退複座機、フルメタル・ジャケット弾等の弾薬関係、銃の開発、大砲の閉鎖機等を行っている。これらの研究を同時並行で行う為に、コペンハーゲン工科大学の優秀な学生を大量にスカウトし、海軍の造船技官にも協力を仰いでいる。
これらの研究では、銃の開発と弾薬の製造については、Gew98の寸法やボルト機構の寸法、7.62×51mm弾の仕様をまるまる渡しているので、順調に進みほぼ完成と言える。ただ、金属薬莢やフルメタル・ジャケット弾の効率的な製造機器の開発に苦労している。また、無煙火薬においてもコルダイトとTNTの開発生産を行っているが、アセトン等の材料不足によって大量生産までとは行っていない。これが上手くいかないと戦力とはならない。
三段膨張式蒸気機関もかなり研究が進んでおり、水管式ボイラーの改良に取り組んでいる。大型三段膨張式蒸気機関は2機合わせると1万馬力を越える算段が着いているようだ。そして、これら蒸気機関の馬力を落としたモンキーモデルを積んだ蒸気船の販売を企んでいる。製造ラインを作り維持するにはある程度の商品を作らなければならないからだ。
今年の夏からは新型機関を搭載した客船、貨物船の建造が始まるだろう。これでまだ資金を稼ぐことができる。
アセトンが足りないよー。
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