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僕はすごいんだぞ

「ちょっとまて」



すれ違うときに話しかけられ、立ち去ろうとしたら掴まれた。

そのままズルズルと裏庭へと連れて行かれる。


「イア?」


「なんだアリー」


「暑いので外は嫌です」


「雲を出せばいいんじゃないか?」


「そんなことできるわけがないでしょう!」


「なら、風を吹かせれば良い」


「もしそんなことができたとして、この暑さじゃ熱風吹かせてるだけで涼しくないんじゃない?」


「大丈夫、日陰の涼しいところに行くから」


「忙しいしそんな時間ないわ」


「僕のために30分ぐらいつかえるだろう?友達なんだし」


「・・30分だけ」


「ありがとう」


着いた場所は木陰になっていて、風通しも良く確かに暑くはなかった。


「で?」


「信頼してもらいたいのに、こうも捕まらないと話にならないじゃないか」


「今、キアーラ様を手伝ってるんです」


「知ってる。学園祭の準備だろう?」


「はい!面白いことになりそうなので、イアも楽しみにしていて」


「そうか。じゃあダンスのパートナーは僕にして」


「あ、そういうのいらない」


「は?」


「イアと踊りたいなんて滅相もない」


「僕と踊りたいっていう子ばかりなのに、どうしてアリーは」


「それに、今年はパートナー制度ありません」


「そうなのか?」


「はい」


「じゃあ、まあ・・」


「お腹が空いたし戻ってランチを食べたいんだけど」


「それなら大丈夫」


すっと渡されたバッグを覗き込むと、美味しそうなパンがたくさん入っていた。


「アリーにお昼抜きなんてそんな真似させないよ?」


「ふふ。ありがとうございます」


「ございます?」


「あ。ありがとう」


ペコリと頭を下げる。本当はしっかり下げようとして思いとどまったのだ。


「僕も食べる」


二人でもぐもぐハグハグ食べながら話す。


「最近、材料集めもしてないじゃないか」


「前もって先生に尋ねて、学校以外で調達してくるようにしてます」


「なんだって?」


「だって、イアが監視するでしょう?」


「・・この前のメンバーも一緒に集めてるのか?」


「フィンとエレノアのことかしら。たまに手伝ってもらいますけど」


「くそっ」


「あら、珍しい。悔しそうなお顔」


「なんで僕も・・」


「私を疑っている人を呼ぶかしら?」


「手伝いたい。仲良くなりたいっていう純粋な気持ちもある」


「もし」


「ん?」


「もし本当に私が魔法を使えるとして、イアはそれを知ってどうするの?」


「使ってるところを見たい!」


「それだけ?」


「・・できれば教えてもらいたいな」


「使えるようにならなかったら?」


「さあ。別に今までと何も変わらないだろう?今も使えないんだから」


「本当にそうでしょうか」


「敬語になってるぞ」


「ああ、はい。使えるかもしれないと一旦期待してしまったものが無理だとわかったとき、妬みに変わることはないんでしょうかじゃなくて・・ない?」


「妬みか。自分で言うのもなんだが、僕はモテる」


「知ってます」


「アリーも知ってるぐらいモテる」


「・・・」


「どうした?」


「イアが真顔で『僕、モテるもん!』って言ってると思ったらおっかしくって」


ツボにはまってしまい、笑いが止まらず涙が出てきた。


「そんなに笑うことか?」


呆れて私を見ているけれど、頭の中で「僕、モテるもん!」と強がるイアが浮かんでおかしくてしょうがない。


「そろそろ喋れるか?」


「はー・・はい」


そう返事しても、また笑いが込み上げる。


「いつまで笑うんだ」


「はあはあ・・誰か助けて」


もう何度目かわからないやりとりをして、イアも笑いが移ってしまっている。


「なんなんだ!僕は別に何も楽しくないぞ!」


そう叫ぶのに一緒に笑ってしまっている。


結局時間が無くなってしまい、話は途切れた。


校舎に戻る最中に少しずつ笑いはおさまったけれど、イアを見るのは危険だ。


顔を反らしたまま挨拶をして分かれた。


□  □


「ねえ、ものすごく噂になってるわよ」ひそひそ声でエレノア様が尋ねてきた。


「何がでしょう?」


「あなたとイアサント様」


「んん?」


「付き合ってるの?」


「まさか!」


「そう。意外とお似合いだと思うけど」


「この地味な顔があの派手な顔の隣に並ぶのが元ファンとして納得いかない」


「気持ちはわからないでもないんだけど、あなた最近すごく魅力的よ」


「まさか」


「あなたの顔が変わってきたのか、あなたの魅力を私がわかってきたのか」


「・・そのどちらでも嬉しいです」


「そういうとこね」


「あの、噂ってどんな?」


「ああ!そうね・・付き合ってるんじゃないかと疑っているものが殆どで、その理由が『イアサント様があんなに楽しそうに笑うなんて』っていう驚きらしいわ」


「確かに楽しそうですよね、あの人」


「あなたがそうさせてるんでしょう?」


「私がそうさせてるのではなく、あの人が勝手にそうなってると思います」


「中々の屁理屈ね」


「そうですか?笑顔にさせたいなんて微塵も思ってないのでそこは重要かなと思いまして」


「ねえ、私も学園祭のお手伝いができないかしら?」


「喜ばれると思います」


「そう?じゃあ話を通してもらえる?」


「了解です」


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