俺の彼女が「幼なじみざまぁしちゃダメだよ?絶対だからね!?」と言ってくるのが可愛かったので姉に恋人役を頼んでからかってみた
俺の名前は佐倉修斗。
至って普通の高校生だが俺にはひとつだけ自慢がある。
すげー可愛い幼なじみの彼女がいる事だ。
名前は天野華音。クラスの人気者で明るく容姿も整っている。運動はめちゃくちゃできるが勉強は平均より少し上ぐらいだ。
俺と華音は保育園からの付き合いでずっと一緒に過ごしてきた。
だから小学、中学の途中までは一緒にいる事が当たり前だと思っていた。
でもある日華音が中学3年の時に校舎裏で告白されているのを偶然見てしまって何故か心がいたんだ。
それから何日もこの痛みはなんなのか。と考えたどり着いた俺の答えは恋だった。
それからの俺の行動は迅速だった。
華音を取られたくないという思いでいっぱいだったからだ。
すぐに俺は華音に告白した。
といっても遊びに家へ誘ってそして自分の部屋で告白するというロマンティックの欠けらも無いものだったけれど。
「いいよ。私も好きだった。」
その言葉は今でも忘れない。
華音が俺の告白をOKしてから恋人になったという意識をもって毎日一緒に居たため学校ではすぐに噂になった。
一部の人はなんでお前なんかが…と言っていたが最終的にはほとんどの人が祝福してくれた。
それから華音と毎日濃厚な日々を過ごしていった。
そんな俺達だが今現在高校2年生。
華音が一緒に俺の家で過ごしている時に突然よく分からないことを言い出した。
「幼なじみざまぁしちゃダメだよ?絶対だからね!?」
幼なじみざまぁが怖いらしい。俺も時々小説を読むが最近は幼なじみざまぁが多くなっているらしい。
「幼なじみざまぁ?する訳ないじゃん。俺にとっては華音が1番なんだから」
俺にとっては華音が1番なのだから幼なじみざまぁなど頭に無かった。
「う、うん。そうだよね修君は私のことが大好きだもんね?あとそういうこと普通に言うの禁止!私がダメになっちゃう!」
俺の彼女は嫉妬したり可愛いなどと褒めると照れたり可愛いところばかりだ。
だから好きなのだが。
「分かった。分かったって。だから怒るな」
そう宥めて俺は頭を撫でる。
「えへへ〜。修君のなでなで気持ちいい〜」
緩い顔でそんな破壊力抜群の言葉を出されると俺の心臓が止まりかねない。
正直耐えるの結構辛いがこの顔は俺にしか見せないと思うと自然と耐えれる。
「今日はもう遅いしそろそろ帰った方がいいんじゃないか?あとその顔俺以外に見せるなよ?」
我ながら嫉妬深いと思う。それに本当はまだ一緒に居たいのだが外は暗くなっている。
遅い時間に華音を返したくないので渋々帰るように促す。
「うん!絶対見せない!また明日も遊ぼーね!」
また明日も遊びたいらしい。でも俺はこの時いい事を思いついてしまったんだ。
確か明日は姉が帰ってくる日。
そして姉はほとんど海外にいる為、華音には1度もあっていない。
これは幼なじみざまぁを再現出来るのでは無いかと。
たまには華音の別の顔も見てみたいし。
「ん〜…明日はなんかあったっけなぁ…なんかあったら連絡するから、連絡が来なかったら来いよ!」
なんとも言えない答え方をしてなんとか誤魔化す。
「分かった!」
そう言って華音は俺の家を出ていった。
何故送らないのか。大事なんだろ。と思う人もいるだろうが華音の家は俺の家の隣の隣だ。
だから俺の家にすぐ来れるしすぐに帰れる。
そして華音が帰ってから俺は明日のことを考えつつだらだらと過ごし布団に入った。
ピンポーン。
俺はそんな音で起こされた。こんな朝早くに来るのは姉しか居ない。
寝ぼけながらも扉を開けた。
「やっほー。修斗ー」
そんな明るい挨拶を投げかけてきたのは俺の予想通り俺の姉、佐倉南実だった。
「久しぶり。姉さん」
実に1年ぶりだった。
そして早く計画を立てたかったため姉さんにやりたいことを話した。
「ふーん。別にいいけど。幼なじみざまぁねぇ。しかも幼なじみの別の顔がみたいだなんて。可愛いやつめ!ほらほら!」
そういって姉さんは俺の頭をぐりぐりしてくる。微妙に痛いが手伝ってくれるらしいので良しとしよう。
それから数時間後。
俺と姉さんは華音がいつも来る少し前に手を繋いで家の扉を開けた。
するとそこには俺の彼女の華音がいて、
「来たよ〜。修…く…ん?」
俺と姉さんを見た瞬間に華音の顔は絶望に染まった。
少し罪悪感があったがこんな彼女も可愛いと思ってしまったのだから我ながら最低なやつだとは思う。
「華音か…俺この人と付き合うことにしたから」
「えっ…嘘…修君?」
そう言って彼女は涙を流し、地面にぺたんと座り込んでしまった。
流石に彼女の泣き顔は見たくなかったので急遽計画を取りやめる事にした。
「ぐすん…修君…今までの関係は嘘だったの…うわぁぁぁん!」
「華音!ご、ごめんな。この人は俺の姉さんなんだ。俺、華音の嫉妬してる所が見たくてこんなことしたんだ。最低だよな。本当ごめん。」
俺はすぐに謝った。華音の泣き顔を見て俺は自分の独占欲と嫉妬心をうらんだ。
「…ほんと?」
舌があまり回ってない状態で華音は聞いてきた。
「ホントだよー。ごめんね。華音ちゃん。可愛い弟の頼みは断れなかった」
姉さんが俺の代わりに弁明してくれた。
これは俺がいっても疑われてしまう可能性があるのでありがたかった。
「俺は華音が1番だよ」
華音をぎゅっと抱きしめる。
空気を読んでくれたのか姉さんは家の中に入っていった。
ブラックコーヒーのも。と聞こえた気がするが気の所為だろう。
「…私も修君がだぁいすき!」
華音は更にぎゅっと強く俺の事を抱きしめてきた。
あぁ…やっぱり俺の幼なじみの彼女は最高に可愛い。
これからも俺は彼女と楽しい日々を過ごしていこうと決めたのだった。
甘々なのが書きたかった。
あと幼なじみざまぁは受け付けません()
幼なじみは幸せになって欲しいという思いでできた作品。