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第四話 新たな可愛い仲間


「なんか疲れた」



数分前


俺は部屋に荷物を置き夕食をとるため食事のできるホールへ向かった。どんなものが、出てくるのだろうと異世界初めての食事に胸が高鳴った。だが、胸の高鳴りはホールに着くと消えた。あの女の子がいた。そして、俺を見つけるとこちらに来て。


「ヨウマさんの担当になりました。リーネと言います」


と言った。どうやらこの宿ではそこまで客が泊まらないので、一人一人に世話役と言うものが付くらしい。らしいのだが、

(なぜ、よりにもよってこの子なんだぁ!?)

女の子の方も少し気まずそうにしている。


「あぁ…、よろしく…」

「はい…。よろしくお願いします…」


「どうしたんだいお客さん?うちの子が何かしましたか?」


お互いに黙って立っているとお店の店主らしきおばさんが出てきた。そして、この子の母親のようだ。


「あっ、お母さん」

「いえ、なにもしてませんよ。どちらかというと、こちらが…」

「ん?」


言おうかどうかまよったが、先程のことを説明すると


「はっはっはっ、よかったじゃないかリーネ!胸が小さくて彼氏が出来ないとか言っていたじゃないか。ヨウマさんですね?リーネでよろしければ貰ってやってくださいな」

「ちょっと、お母さん!?」

「いえ、そんな事を言われましても…」

「えっ?その、やっぱり胸の大きい方が…」

「あぁ~、違う!そうじゃなくて、急に言われてもってことで、貰えるのであれば喜んで…」


そこまで言っておばさんがニヤニヤしているのに気が付いた。


「そう、将来は構わないってことだね?おっと、自己紹介がまだだったね。リーネの母でこの店の店主をやってるナタリーだよ。よろしく」

「よろしくお願いします」

「それで、お客さん?突然だけど、ここに住む気はないかい?」

「はい?」


急にそんな事を言われ、またからかっているのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。


「からかってるという訳じゃないよ?この店はなかなか人が泊まらないからね。永住てことにするなら1日3食含めて銀貨1枚と銅貨5枚にまけるけど、どうだい?」


なるほど、そう言うことか。値段的にも悪くはないし、それに、


「もちろん世話役はリーネに任せるよ」

「分かりました。永住にします」

「おぉ。即決だねぇ。気に入られたようだで良かったじゃないかリーネ!」

「もう、おかあさん!からかわないで。ヨウマさんも本気にしないで下さいね?」

「あぁ、分かってるよ。それじゃあ、改めてよろしく」

「はい。お願いします」



現在


と言うことがさっきあった。因みに夕食はこの町に来たときに門番が教えてくれたケッソと言うものを使った品だった。ケッソは日本で言うチーズのことだったらしい。ただ、今までで食べたことの無いような濃厚なチーズだった。食べ方は細かく刻んで野菜と混ぜたり、薄くきってステーキに乗せたり、あとは、そのままでラーコルと言うこれまたこの町の特産品のお酒のツマミにしたりなどいろいろだ。


「でも、まさか、永住することになるとは。これは、本当にリーネと……、いやないよね。でも、可愛いんだよなぁ。付き合ってみたいなぁ。もし付き合えたら、部屋は隣だから夜にこっそりと部屋を移動して朝までおしゃべりしたり、他にも~」


コンコン


一人で妄想をしながらしゃべっていると不意に扉を叩く音が聞こえた。そして、そちらをみると


「あっ!」


ドアが全開だった。そして、部屋に戻るために前を通ったリーネに聞かれていた。

(だから何でよりにもよって本人に!?)


「あの、大丈夫です。聞いてないことにしますから。」


肩を落としていることに気付かれ慰められてしまった。


「うん。ありがと」


男の尊厳など無いに等しかった。

(もう失うものは無いしいっそのこと俺と付き合ってくれとでも頼もうかな)

とそんな事を思ったがやめておいた。しかし


「あの、恋人はあれですけど、友達なら」


と言われ、また口に出してしまったのかと慌てて口を覆った。すると


「大丈夫ですよ、口には出していませんから」

「えっ?じゃあなんで?」

「私、魔法が使えるんですが、相手の考えていることが分かったり逆に相手に自分の考えを伝えたりする魔法が得意なんです」

「リーネって魔法が使えるの!?」

「意外ですか?でも、確かに攻撃魔法は得意じゃないんです。主にサポート魔法が得意なんです。さっきの考えを読み取った魔法はリーディングって言うんですけどそれの一部です。なのでほとんど町からでて狩りをしに行ったことはありません」

「そうなのか?でも、攻撃系の魔法を使う人や剣を使う人と行けばいいんじゃないか?」

「それもそうなんですけれども、ベタベタしてくる人ばっかりでいやになってしまって」


確かに可愛いからな。話をしたい気持ちは分かる。でも、実際にさわったりするのはどうかと思う。


「ん?だったら俺は平気なのか?」

「あっ、そう言えばそうですね。平気みたいです」

「そう?それなら明日も狩りに行くけど一緒に行かないか?」

「いいんですか!?」


リーネが今まででよりも大きな声で目を輝かせてそう言った。そして、恥ずかしそうに顔を伏せた。少し驚いたが、そのしぐさも可愛らしかった。


「あっ、でも、お店の仕事が……」

「仕事なら大丈夫だ。ヨウマの世話役ってことになってるし、なんなら店の手伝いやめてヨウマと冒険者になってもいいんだよ?」


そう言いながらおばさんがやって来た。


「お母さん、聞いてたの?」

「そりゃあ、ドアを開けっぱなしでしゃべってりゃあ聞こるよ。で?どうするんだい。冒険者、やりたかったんだろ?」

「ううん、でも私弱いし、足手まといなっちゃうし」

「それなら大丈夫だよ。俺も初心者。ランクG3だから」

「そうなんだ。私もG3。それなら、してみようかな冒険者、ヨウマさんと。あっ、でもG3二人だと危ないよね?他に誰か探さないといけないかな?」


そう言って雰囲気が少し暗くなった。今までの男達を思い出したんだろう。どうしようかと悩んでいるとおばさんが


「それなら大丈夫だろう。さっき面白い噂を聞いたしね」

「面白い噂?」

「あぁ、買い出しのときにちらっと聞いたんだがね、ヨウマって冒険者がステータスプレートの登録初日にG3になったって、町中の冒険者が言っていたから多分本当だろう。それで、そのヨウマって冒険者、お前さんじゃないのか?」

「えっ!?そうなの?ヨウマさん」

「確かにステータスプレートを今日の昼頃に登録して夕方くらいにG3になったけども、そんなにすごいのか?」

「そりゃあ、いくら最初だからって普通はそんな早く上がらないからねぇ。リーネも半年はかかったんじゃないかな?」

「うん。サポートでほとんど狩りに行かなかったていうのもあるけどそれくらいはかかったかな」

「そうなんだ。だったら多分、特性のお陰かな?」

「どんな特性なの?」


俺はリーネとおばさんに自分のステータスプレートの特性と書かれたところを見せた。


「なんかいろいろあるけど多分これ。自分と自分が仲間と認めた人の経験値が普通よりも多くてにはいるってやつ」


そこには

『経験値アップ 対象:自分と自分が仲間と認めた者』

と書かれていた。


「絶対それだろうね。なら、リーネも仲間にしてもらえばレベルも上がるんじゃないか?」

「でも、私って仲間って認められるのかな?」

「大丈夫だよ。リーネなら俺は大歓迎!」

「そう?ありがとう」

「なら決まりだね。ほら、リーネ。今日中にステータスプレートとか準備するもの出しときな!」

「ちょっと、お母さん。押さないでってば。あと仕事はまだ辞めないからね?」


そう言いながらリーネとおばさんは部屋から出ていった。


「おばさんがいるとリーネの雰囲気が少し変わっていいけど俺といるときももう少し気を許してほしいな」


そうぼやきながら俺も明日の準備をして布団に入った。


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