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平和でいられるために

 ポイントノンに新しく50名の住人が増えた。ハーレム実行部隊の人数はちょうど50人であった。その女の子たちが僕とともにこの街に留まった。そのことに住人の人は酷く驚いた。無理もない。女の子たちがいきなり自分の身内として住民登録したのだから。女の子と言えども得たいが知れないかもしれない。


 だけど、僕に深く問う人はいなかった。人が良いのかはわからない。だけど、僕達の正体を知られるのは良くないとおもった。そこが、不安でしょうがなかった。


「大丈夫よ。町長にはこうなることは説明済みだしね」


 (はるか)は堂道と言い放つ。彼女はいつだって自信に満ち溢れている。


「君はいつでも用意周到だね」


 僕は素直に言った。本当に彼女は女傑だと思う。


「褒めているの? 呆れているの?」


 意地悪そうに言う遙はなんだか上機嫌だ。良いことでもあったのだろうか?


「どうやら、戦争の予定がね。もう一年先に延長されるみたいなの。これで準備が増やせる。それにね、ただ平和が続くことはいいことじゃない?」


 情報も常に更新されているのにもいつも凄いと思う。新垣(あらがき)君経由の情報だろうが、本国と離れていてすぐに敵の事情がわかるのは簡単ではないはずだ。


「そうだね。このまま何事もないのが一番だよ」


「でもね、そのせいで他の計画が発生することを念頭に置いてね」


 導いてもくれる。だけど、僕も僕なりに彼女を皆を導く。自信がないだけではいられない。根拠がなくても知恵をつかって対処する。


「向こうも、座しているだけではないということか」


「そうね。君を無視しても世界を終わらせることはできる。だけど、歯車の一部は君が担っている。だから、安心はできない」


「新たな、刺客がくるということか」


 遙は頷く。当然なんだろうけど、これまでは上手く退くことができた。しかし、残された手札はなんだろうか? 彼女が僕の思考を読んだのか答えてくれる。


「確実性を求めた計画か焦りで動いた刺客ね。いずれにせよ油断は禁物よ。私はこれからヘイムハイロウの市町長(しちょうちょう)会議に行くわ。いまなら、参加できる時間の余裕が生まれる。この大陸の人間だって知らずに争いに巻き込むわけにはいかない。私達は同盟を組んで対処を話し合うわ」


「その間に刺客が来ても僕は遙がいなくてもどうにかするさ」


「頼もしくなったわね。でも、気を付けないといけないのは私達の関係」


「関係?」


「そう、私達の絆はあるわ。でも、それぞれが違う。団結しても、離反することもあるわ。あなたがきちんと手綱をとること。これは物凄く難しいことよ」


 確かにそうかもしれない。でも、どうしたらいいのだろうか?


「寝食をともにするのもいいけど、それぞれのことを知りなさい。名前だけじゃなく、全ての情報を」


「確かに、難しいね」


「これが、敗因の一つに繋がるわ。情報をさえわかれば役割や編成の問題も解決するはず。そのことに血を巡らすのは隼人(はやと)君、あなたの役目よ」


「君は僕の師匠みたいだね」


「いえ、彼女よ」


 そこは譲らないんだな。僕は少し笑った。彼女はそのすきに僕に軽く口づけした。僕は驚きもせずに彼女を包んだ。


 しかし、彼女は僕を突き放す。そうするのはわかっていた。お互いが好きなのはわかるが、僕らはどこかドライだ。


「続きは戻ってきてからね」


「そうだね。僕はやり遂げるよ。だから、君も無事に帰ってきてね」


「ありがとう」


 そう言って、遙はポイントノンから去った。この実行の速さを見習なければな。


 それからというもの、女の子達の宿舎に何度も立ち寄った。ハーレムを持つ王が妾達の部屋を順番に伺うような不健全な感じもしたが、なるべく一対一で語り合った。皆もそれぞれ苦労があったようだ。


 楽しいこともわかちあった。皆で笑いあった。決して、僕は孤独の王ではなかった。そう確信できる。遙の方は上手くいったのだろうか?


 だけど、彼女に限ってそんなことはあり得ないと思うほど僕は信頼していた。来るべき次の戦いはなにが起こるのだろうか。皆とは連携と連絡を絶やさずに広範囲に斥候隊をつくり警戒網はった。犠牲はつきものだが、これなら大きな犠牲が出来ずにすむだろう。狙いを見定めないと僕が狙いか女の子達がねらいなのかわからないが。


 本当は誰も死んでほしくはない。でも、僕を含めて皆が覚悟はできている。


 僕達は僕達の意志で動き自由と平和を求めている。そんな、束の間も消し去る強大な悪意が来ることに怯えているが、それでも懸命に生きて、いつも笑いを絶やさなかった。


 もしかしたら、この瞬間、一日、一日のその時が常に幸せかもしれない。刹那的でも僕たちは永遠を手に入れたように思えた。


 しかし、激戦は切って始まるのだった。


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