デビル イン ミー
狂乱の宴は続いた。僕の内なる悪魔とでもいうのか、隼人、もといフォートが望んだ色欲のショーだ。
僕の姿は形容しがたい怪物。一応に人型の形態であるが、なんと称せればいいのか僕自身がわからない。そして、僕の別人格であるフォート。彼は非常なる悪鬼であって欲しかった。僕は自分の人格を消して、僕ではたどり着けない恐慌的な暴虐性を生み出したかった。
しかし、内なる悪魔は予想とは違った。
「いち!」
もみもみもみもみ。などと、女の子たちが胸を揉み始める。4まであるが、割愛させてもらいます。
僕を篭絡させるために結成されたハーレム実行部隊であるが、総勢50人くらいの女の子たちがいいようにいやらしい仕草を強制的にやらされている。
これが、僕が消えてまで生み出そうとした人格か? 悪魔か? 悪魔とは何か? それでも、フォートはけっして人間性が良いとは思えない行動はする。非常といえば非常だ。
『よう、俺。俺はなお前から生まれたんだ、お前を苦しめることなどするわけがない。むしろお前が望むことをしているんだ』
『フォート。確かに君は僕だけど、単なる変態行為を望んだわけでは。これが解決策とも思えない』
『そんなことはない。実質、この部隊は俺とお前の物になった。勝利だ! そして、頭にきているんだろ? お前をいいように弄んだ連中に。仕返しというやつだ』
僕が生み出した人格とはいえ、とんでもない発想の持ち主だ。でも、委ねたのは僕だ。フォースの自由にさせる。僕は一瞬でも好きに生きた。自由を全うしたんだ。
「それは、違う!」
フォートは怒鳴った。当たり全ての人間が怯える。
「に、兄さん。どうしたの?」
あれほど、僕に優位を示していた五百子さえ僕を怖がっている。
「てめら、勝手が過ぎるんだよ。お仕置きだ!」
フォート、何をしようとしている。さらに破廉恥なことは……。いや、僕はフォートに全てを任せたんだ。
「それが、いけねんだよ。隼人も五百子も女共もなにがしたい? 境遇がなんだ? 運命がなんだ? そんなものはぶち壊せ! いいか! 俺は色欲の悪魔フォートだ。隼人なんかじゃねぇ。だから、好きなようにするぜ。それでいて、お前たちが喜ぶようにだ。全員一列にならべ!」
「はい! 隼人様、いえ、フォート様」
なんだ? この女の子たちの従順さは。女の子たちは全員いっせいに一列に並ぶ。
「回れ右!」
女の子たちは言われた通りに右回転で背中をむける。
「礼!」
女の子たちはお辞儀する。しかし、フォートは気に入らないらしい。
「深く礼だ。お尻を突き出せ!」
女の子たちは言われた通りにお尻を突き出す。なに? この、ばかな号令……。
「後進! わかるか? 行進じゃなくて後進だぞ」
「はい、フォート様」
女の子たちはお尻を突き出したままこちらに向かってくる。
魔力の影響もあるのだろうが、彼女達はフォートにメロメロな様子だ。馬鹿な。そんな馬鹿な。
フォートの前に一番手にお尻を突き出した女の子が興奮している。我慢できそうもないとおねだりしているかのように腰を振るう。
『フォート、まさかだと思うけど、挿……』
『わかっている。今の俺たちだと自爆人間の仕事の一つ、種馬が全員にできる。するわけねえだろ。それじゃあ、結果的に組織の思惑通りになる』
『そ、そういう考えなんだな』
「おい、お前はの罪はなんだ?」
フォートは一番手の女の子に問う。
「そ、それはわかりません」
「馬鹿か? 貞操感が強い初な隼人を悩ませて誘惑した罪だ」
「申し訳ございません」
女の子は嬉しそうに謝る。
「では、お仕置き実行する。しかし……なんだ、その装束は。お仕置き、そのために用意されたような食い込んだ衣装だな」
「う、うれ……いえ、慈悲をお許しください」
「おう」
そういういと、フォートは女の子のお尻を叩く。叩くのだが加減が絶妙なせいのかわからないが、喜悦の声が響く。
ベシ!
「もっと!」
ベシベシ!
「もっと! もっと! ああ、お許しを」
僕は品性だけは失いたくないなとは思った。だが、フォートと女の子は楽しげだ。それに続き、順番で並んでいる女の子達は辛抱できないようで、腰を振っておねだりをしている。凄い、光景だ。
「早く、早く、フォート様。私達にも罰を」
ベシ!ベシ!ベシ!
「ああ、ああああ」
激しくなり、お尻の肉は揺れる。ちなみに四つん這いになってきて胸も踊っている。
「ははは、楽しいだろ? 隼人。これが勝者だ。お前の考えは固すぎるんだよ」
『僕としては何も言えない……』
で、傍らでエルマー、アルマー姉妹は姉妹愛でつながっているのだが。この光景に興奮したあまりに僕らをおかずにして、二人でいちゃついている。遙とカナタは半ば、僕を呆れた目で見ている。そして、五百子はおあずけされた犬のように待たされている。それでも興奮している。
僕は思う。やっぱり、僕は最低な人間だ。いまでは形容しがたい怪物だが。
「そんなことが、何の卑屈となるんだ? 隼人、お前は俺だ。自由は無限大だ。可能性も無限大だ。視野を広げろ! 運命に従属されるんじゃねぇ!」
言葉がいいが、やることは最低だ。この間にも女の子たちは順番にお尻を叩かれては喜んでいる。
でも、笑ってしまった。
『ははは』
「あーはっはっは」
「に、兄さん。私にも罰を」
「お前は、最後だ」
「そ、そんな我慢できない。でも、やっぱり兄さんは最高! 私が苦労して創った部隊を一夜で支配してしまうなんて」
「ははは、そうだろう。凄いだろう」
傍で渦巻くっている五百子をフォートは起こし優しくお尻を触る。
「ああ」
「俺の偉大さに気付いた褒美だ。これは罰ではない」
いや、やっていることは変わりがないよ。軽く触れただけで身をガクガクしている五百子。
「もう、お嫁にいけない」
いや、お前は余所に嫁ぐつもりもなかっただろ。兄としては嫁いで欲しいんだよ。
殺伐とした、人生の中、これほどの色香で終わらせる戦いなどあるのであろうか。これは、なんなんだ? これを凌いだとしても、本当の地獄は続く。戦いは殺し合いだ。だけど、フォートなら、別の可能性ができるかもしれない。そうか! 遙たちが僕に惚れた理由は内なる僕のフォートがいるからだ。僕には用はないのかもしれない。僕は、意識を消すことにした。微かに聞こえる声がする。
『隼人、卑屈すぎだぜ』
君に任せるよ。僕は消え去った。
今までの暗さがぶち壊しです(^_^;) いや、本来はこういう方向にしたかったんだけど。もう少しで、また、暗くなります。多分。




