初めて出会った時から私は狂っています。
森は淫らな色に染まっていた。誰が、こんなことなると予測ができよう。
「最高よ! 最高! 兄さん」
僕は肉体が変貌していく。理性のリミッターが外れてあらゆる体の個所から体液が噴出しいく。それこそ、硬化した下半身さえ。ただの性の快楽とは別の刺激を感じる。なんといえばいいか、気持ちいいだけではない。常人には味わえない未知の感覚だ。止めることができない肉体の感覚に抑えようとするがあがなえずに何かの生物へと覚醒していく。
「兄さん、泣くほど気持ちがいいのね。私もよ」
五百子は僕の変わりゆくさまを快楽に感じ、涎をたらしながら胸と股間に手をあてて気持ちよがる。とても、見たくなかった光景だ。しかし、五百子は逆なのだろう。それが、たまらなくいい光景なのか醜いしぐさなのか判別できない状態だった。
「兄さん知っていると思うけど、気配無き獣はヘイムハイロウの魔獣インドミルを捕えて改造したものよ」
五百子は急に解説を始める。今更、気配無き獣が何だというのだ。確かに関わり合いはある。僕と同じで哀れな被害者だ。人間の残忍さは果てしなく広大だ。でも、今はそれどころではない。
「あなたは、施設が特別改造した人間型インドミルの混血で私の父、芋生檻人と試験ナンバーZEROとの間に生まれた子供。私は父の後妻から生まれた子供。だから、問題ないわ。ちなみに兄さんの母さんは兄さんを生んで死んだわ」
五百子は何も気にせずに喋りまくる。 僕の父は組織の命令ならば何でもする男だったのか? だけど、否定できずにいる自分がいる。せめて、その間柄に愛があることを祈りたい。もう、僕は人間ではないのはわかっている。出生の秘密を知ったことで驚きはしない。ただ、酷く切ない。
「幼いころに兄さんと関係を結べと言われた時は嫌だったわ。だって、人間ではないのだから。そう、聞かされたから」
俺は今でも嫌だ。五百子に愛情こそあったがこんな形になるとは凄く嫌だ。僕の秘密を知っているのはどこまでいるのだろう。遙は知っているのか? こんなどうしようもない化け物だった僕を好きだったとでもいうのか。
「でもね、兄さんの生い立ちや姿を見聞きして心が変わったの。私、私は初めから狂っています。兄さんのあらゆる全てが好き」
自覚はあるのか。なら言えることは一つ。
「なぁ、もうやめにしないか? いっそのこと僕を殺せ!」
それで、全てが済むのではないかとおもった。自由に生きる為に戦うことを誓った僕だが、暗雲が立ちこもる。僕に付いてきてくれた、遙、カナタ、エルマー、アルマーには申し訳ない。
「嫌よ。この時を、この時をどんなに待ち望んでいたか。母さんまで殺して」
またもや、五百子は途方もないことを言う。この子はどこまでも僕を脅かすのだ。
「母さんをお前が殺した?」
五百子は不敵に笑う。相変わらず状況に酔いしれている。股から足をつたって、なにか液体が流れているようにも見える。何かは考えたくない。
「レビレート婚って知っている?」
僕は素直に答える。詳しくはないが知っている限りで。
「ああ、兄弟の未亡人が兄か弟に嫁ぐやつだな……まさか」
僕は吐きそうになった。考えたくない。
「そう、私の母さんは兄さんと血がつながっていない。もし、父さんが死んだときの仕組みがわかる?」
そんな、社会は聞いたことはないが、言えることは……。
「僕との再婚か……」
「そうよ。だから、未然に殺しておいたわ。兄さんは私のもだから」
「お前はどこまで狂っている。とても、そんな子だと思ってはいなかった」
「兄さんが甘いのよ。芋生の家に生まれたくせに。でも、そんな甘い考えの兄さんが好き」
病んでいるのか? 僕は後ずさりした。
「あっ、兄さん。逃げたりしないでね」
僕は施設で人生を送った時間が長いのだ。情報がない。言い訳にもならないが知らないとはどこまでも恐ろしい。五百子が恐ろしい。
うなだれている僕を見て嬉しそうに五百子は近づいてくる。そして、手をついて愕然としている僕をみてから、僕の頭にお尻をのせるのだった。そして、激しく動きお尻だけではなく前の方も動かしてはしゃぐ。しばらくして疲れたのか休む。
「はあ、はあ、はあ、兄さん、最高」
「お前は本当に頭がおかしいよ」
その言葉に感じ入ったのか僕の頭部に下半身をのせる五百子から汗なのか液体が僕の顔に少し流れた。それが、何かは言えない。
「兄さんは自分が普通じゃないと思わないの」
「確かに、僕は……」
言い終えるまえに、僕を無理矢理に押し倒す五百子がいる。まるで力がはいらない。どういうことだ? 化け物に変わったというのに。非力なはずがない。
「おかしいと思うでしょ。私には逆らえないように兄さんは創られているのよ。私の所有物だから」
だからか、なぜか気持ちまでもがおかしくなっている。たまらなく、五百子に女性を感じた。
兄を無理矢理押し倒す妹との間に生まれるのは恋の始まりですか?
それを、否定できずにいた。
しかし、どこまでも自制してみせる。反撃、反撃の手口はないのか? 五百子を退く手立てとは。
僕は無心にして深淵なる意識に魔力を集め始める。
「兄さん、最高!」
五百子の喜悦は森中に木霊するが、僕は出来る限りの魔力で自分の精神を破壊することで自由を手に入れることを賭けることにした。
うん、この話はセーフなのかな? セーブしたけど、自分の中で必然性で書いているのでなんとも(^_^;)




